撒母耳前書・明治訳

撒母耳前書 1 Samuel
Now there was a certain man of Ramathaim Zophim, of the mountains of Ephraim, and his name was Elkanah the son of Jeroham, the son of Elihu, the son of Tohu, the son of Zuph, an Ephraimite.



1

1.1エフライムの山地のラマタイムゾビムにエルカナと名くる人ありエフライテ人にしてエロハムの子なりエロハムはエリウの子エリウはトフの子トフはツフの子なり 1.2エルカナに二人の妻ありてひとりの名をハンナといひひとりの名をペニンナといふペニンナには子ありたれどもハンナには子あらざりき 1.3是人毎歳に其邑をいで上りてシロにおいて萬軍のヱホバを拝み之に祭物をささぐ其處にエリの二人の子ホフニとピネハスをりてヱホバに祭司たり 1.4エルカナ祭物をささぐる時其妻ペニンナと其すべての息子女子にわかちあたへしが 1.5ハンナには其倍をあたふ是はハンナを愛するが故なりされどヱホバ其孕みをとどめたまふ 1.6其敵もまた痛くこれをなやましてヱホバが其はらみをとどめしを怒らせんとす 1.7歳々ハンナ、ヱホバの家にのぼるごとにエルカナかくなせしかばペニンナかくのごとく之をなやます是故にハンナないてものくはざりき 1.8其夫エルカナ之にいひけるはハンナよ何故になくや何故にものくはざるや何故に心かなしむや我は汝のためには十人の子よりもまさるにあらずや 1.9かくてシロにて食飮せしのちハンナたちあがれり時に祭司エリ、ヱホバの宮の柱の傍にある壇に坐す 1.10ハンナ心にくるしみヱホバにいのりて甚く哭き 1.11誓をなしていひけるは萬軍のヱホバよ若し誠に婢の惱をかへりみ我を憶ひ婢を忘れずして婢に男子をあたへたまはば我これを一生のあひだヱホバにささげ剃髮刀を其首にあつまじ 1.12ハンナ、ヱホバのまへに長くいのりければエリ其口に目をとめたり 1.13ハンナ心の中にものいへば只唇うごくのみにて聲きこえず是故にエリこれを酔たる者と思ひ 1.14之にいひけるは何時まで酔ひをるか爾の酒をされよ 1.15ハンナこたへていひけるは主よ然るにあらず我は氣のわづらふ婦人にして葡萄酒をも濃き酒をものまず惟わが心をヱホバのまへに明せるなり 1.16婢を邪なる女となすなかれ我はわが憂と悲みの多きよりして今までかたれり 1.17エリ答へていひけるは安んじて去れ願くはイスラエルの神汝の求むる願ひを許したまはんことを 1.18ハンナいひけるはねがはくは仕女の汝のまへに恩をえんことをと斯てこの婦さりて食ひ其顔ふたたび哀しげならざりき 1.19是に於て彼等朝はやくおきてヱホバの前に拝をしかへりてラマの家にいたる而してエルカナ其つまハンナとまじはるヱホバ之をかへりみたまふ 1.20ハンナ孕みてのち月みちて男子をうみ我これをヱホバに求めし故なりとて其名をサムエル(ヱホバに聽る)となづく 1.21爰に其人エルカナ及び其家族みな上りて年々の祭物及び其誓ひし物をささぐ 1.22然どもハンナは上らず其夫にいひけるは我はこの子の乳ばなれするに及びてのち之をたづさへゆきヱホバのまへにあらはれしめ恒にかしこに居らしめん 1.23其夫エルカナ之にいひけるは汝の善と思ふところを爲し此子を乳ばなすまでとどまるべし只ヱホバの其言を確實ならしめ賜んことをねがふと斯くこの婦止まりて其子に乳をのませ其ちばなれするをまちしが 1.24乳ばなせしとき牛三頭粉一斗酒一嚢を取り其子をたづさへてシロにあるヱホバの家にいたる其子なほ幼稚し 1.25是に於て牛をころしその子をエリの許に携へゆきぬ 1.26ハンナいひけるは主よ汝のたましひは活くわれはかつてここにてなんぢの傍にたちヱホバにいのりし婦なり 1.27われ此子のためにいのりしにヱホバわが求めしものをあたへたまへり 1.28此故にわれまたこれをヱホバにささげん其一生のあひだ之をヱホバにささぐ斯てかしこにてヱホバををがめり

2
2.1ハンナ祷りて言けるは我心はヱホバによりて喜び我角はヱホバによりて高し我口はわが敵の上にはりひらく是は我汝の救拯によりて樂むが故なり 2.2ヱホバのごとく聖き者はあらず其は汝の外に有る者なければなり又われらの神のごとき磐はあることなし 2.3汝等重ねて甚く誇りて語るなかれ汝等の口より漫言を出すなかれヱホバは全知の神にして行爲を裁度りたまふなり 2.4勇者の弓は折れ倒るる者は勢力を帶ぶ 2.5飽足る者は食のために身を傭はせ饑たる者は憩へり石女は七人を生み多くの子を有る者は衰ふるにいたる 2.6ヱホバは殺し又生したまひ陰府に下し又上らしめたまふ 2.7ヱホバは貧からしめ又富しめたまひ卑くしまた高くしたまふ 2.8荏弱者を塵の中より擧げ窮乏者を埃の中より升せて王公の中に坐せしめ榮光の位をつがしめ給ふ地の柱はヱホバの所屬なりヱホバ其上に世界を置きたまへり 2.9ヱホバ其聖徒の足を守りたまはん惡き者は黑暗にありて默すべし其は人力をもて勝つべからざればなり 2.10ヱホバと爭ふ者は破碎かれんヱホバ天より雷を彼等の上にくだしヱホバは地の極を審き其王に力を與へ其膏そそぎし者の角を高くし給はん 2.11エルカナ、ラマに往て其家にいたりしが稚子は祭司エリのまへにありてヱホバにつかふ 2.12さてエリの子は邪なる者にしてヱホバをしらざりき 2.13祭司の民に於る習慣は斯のごとし人祭物をささぐる時肉を烹るあひだに祭司の僕三の歯ある肉叉を手にとりて來り 2.14之を釜あるひは鍋あるひは鼎又は炮烙に突きいれ肉叉の引きあぐるところの肉は祭司みなこれを己にとる是くシロに於て凡てそこに來るイスラエル人になせり 2.15脂をやく前にも亦祭司のしもべ來り祭物をささぐる人にいふ祭司のために燒くべき肉をあたへよ祭司は汝より烹たる肉を受けず生腥の肉をこのむと 2.16もし其人これにむかひ直ちに脂をやくべければ後心のこのむままに取れといはば僕之にいふ否今あたへよ然らずば我強て取んと 2.17故に其壯者の罪ヱホバのまへに甚だ大なりそは人々ヱホバに祭物をささぐることをいとひたればなり 2.18サムエルなほ幼して布のエポデを著てヱホバのまへにつかふ 2.19また其母これがために小き明衣をつくり歳毎にその夫とともに年の祭物をささげにのぼる時これをもちきたる 2.20エリ、エルカナとその妻を祝していひけるは汝がヱホバにささげたる者のためにヱホバ此婦よりして子を汝にあたへたまはんことをねがふと斯てかれら其郷にかへる 2.21しかしてヱホバ、ハンナをかへりみたまひければハンナ孕みて三人の男子と二人の女子をうめり童子サムエルはヱホバのまへにありて生育てり 2.22ここにエリ甚だ老て其子等がイスラエルの人々になせし諸の事を聞きまた其集會の幕屋の門にいづる婦人たちと寝たるを聞て 2.23これにいひけるは何ぞ斯る事をなすや我このすべての民より汝らのあしき行をきく 2.24わが子よ然すべからず我きくところの風聞よからず爾らヱホバの民をしてあやまたしむ 2.25人もし人にむかひて罪ををかさば神之をさばかんされど人もしヱホバに向ひて罪ををかさば誰かこれがためにとりなしをなさんやとしかれども其子父のことばを聽ざりきそはヱホバかれらを殺さんと思ひたまへばなり 2.26童子サムエル生長ゆきてヱホバと人とに愛せらる 2.27茲に神の人エリの許に來りこれにいひけるはヱホバ斯くいひたまふ爾の父祖の家エジプトにおいてパロの家にありしとき我明かに之にあらはれしにあらずや 2.28我これをイスラエルの諸の支派のうちより選みてわが祭司となしわが壇の上に祭物をささげ香をたかしめ我前にエポデを衣しめまたイスラエルの人の火祭を悉く汝の父の家にあたへたり 2.29なんぞわが命ぜし犠牲と禮物を汝の家にてふみつくるや何ぞ我よりもなんぢの子をたふとみわが民イスラエルの諸の祭物の最も嘉きところをもて己を肥すや 2.30是ゆゑにイスラエルの神ヱホバいひたまはく我誠に曾ていへり汝の家およびなんぢの父祖の家永くわがまへにあゆまんと然ども今ヱホバいひたまふ決めてしからず我をたふとむ者は我もこれをたふとむ我を賤しむる者はかろんぜらるべし 2.31視よ時いたらん我汝の腕と汝の父祖の家の腕を絶ち汝の家に老たるもの无らしめん 2.32我大にイスラエルを善すべけれど汝の家内には災見えん汝の家にはこののち永く老るものなかるべし 2.33またわが壇より絶ざる汝の族の者は汝の目をそこなひ汝の心をいたましめん又汝の家にうまれいづるものは壯年にして死なん 2.34汝のふたりの子ホフニとピネスの遇ところの事を其徴とせよ即ち二人ともに同じ日に死なん 2.35我はわがために忠信なる祭司をおこさん其人わが心とわが意にしたがひておこなはんわれその家をかたうせんかれわが膏そそぎし者のまへに恒にあゆむべし 2.36しかして汝の家にのこれる者は皆きたりてこれに屈み一厘の金と一片のパンを乞ひ且いはんねがはくは我を祭司の職の一に任じて些少のパンにても食ふことをえせしめよと

3
3.1童子サムエル、エリのまへにありてヱホバにつかふ當時はヱホバの言まれにして默示あること恒ならざりき 3.2偖エリ目漸くくもりて見ることをえず此時其室に寝たり 3.3神の燈なほきえずサムエル神の櫃あるヱホバの宮に寝ね 3.4時にヱホバ、サムエルをよびたまふ彼我此にありといひて 3.5エリの許に趨ゆきいひけるは汝われをよぶ我ここにありエリいひけるは我よばず反りて臥よと乃ちゆきていぬ 3.6ヱホバまたかさねてサムエルよとよびたまへばサムエルおきてエリのもとにいたりいひけるは汝われをよぶ我ここにありエリこたへけるは我よばずわが子よ反りていねよ 3.7サムエルいまだヱホバをしらずまたヱホバのことばいまだかれにあらはれず 3.8ヱホバ、三たびめに又サムエルをよびたまへばサムエルおきてエリの許にたりいひけるは汝われをよぶ我ここにありとエリ乃ちヱホバの童子をよびたまひしをさとる 3.9故にエリ、サムエルにいひけるはゆきて寝よ彼若し汝をよばば僕聽くヱホバ語りたまへといへとサムエルゆきて其室にいねしに 3.10ヱホバ來りて立ちまへの如くサムエル、サムエルとよびたまへばサムエル僕きく語りたまへといふ 3.11ヱホバ、サムエルにいひ賜けるは視よ我イスラエルのうちに一の事をなさんこれをきくものは皆其耳ふたつながら鳴ん 3.12其日にはわれ嘗てエリの家について言しことを始より終までことごとくエリになすべし 3.13われかつてエリに其惡事のために永くその家をさばかんとしめせりそは其子の詛ふべきことをなすをしりて之をとどめざればなり 3.14是故に我エリのいへに誓ひてエリの家の惡は犠牲あるひは禮物をもて永くあがなふ能はずといへり 3.15サムエル朝までいねてヱホバの家の戸を開きしが其異象をエリにしめすことをおそる 3.16エリ、サムエルをよびていひけるはわが子サムエルよ答へけるはわれここにあり 3.17エリいひけるは何事を汝につげたまひしや請ふ我にかくすなかれ汝もし其汝に告げたまひしところを一にてもかくすときは神汝にかくなし又かさねてかくなしたまヘ 3.18サムエル其事をことごとくしめして彼に隱すことなかりきエリいひけるは是はヱホバなり其よしと見たまふことをなしたまへと 3.19サムエルそだちぬヱホバこれとともにいましてそのことばをして一も地におちざらしめたまふ 3.20ダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルの人みなサムエルがヱホバの預言者とさだまれるをしれり 3.21ヱホバふたたびシロにてあらはれたまふヱホバ、シロにおいてヱホバの言によりてサムエルにおのれをしめしたまふなりサムエルの言あまねくイスラエル人におよぶ

4
4.1イスラエル人ペリシテ人にいであひて戰はんとしエベネゼルの邊に陣をとりペリシテ人はアベクに陣をとる 4.2ペリシテ人イスラエル人にむかひて陣列をなせり戰ふにおよびてイスラエル人ペリシテ人のまへにやぶるペリシテ人戰場において其軍四千人ばかりを殺せり 4.3民陣營にいたるにイスラエルの長老曰けるはヱホバ何故に今日我等をペリシテ人のまへにやぶりたまひしやヱホバの契約の櫃をシロより此にたづさへ來らん其櫃われらのうちに來らば我らを敵の手よりすくひいだすことあらんと 4.4かくて民人をシロにつかはしてケルビムの上に坐したまふ萬軍のヱホバの契約の櫃を其處よりたづさへきたらしむ時にエリの二人の子ホフニとピネハス神の契約のはことともに彼處にありき 4.5ヱホバの契約の櫃陣營にいたりしときイスラエル人皆大によばはりさけびければ地なりひびけり 4.6ペリシテ人喊呼の聲を聞ていひけるはヘブル人の陣營に起れる此大なるさけびの聲は何ぞやと遂にヱホバの櫃の其陣營にいたれるを知る 4.7ペリシテ人おそれていひけるは神陣營にいたる又いひけるは鳴呼われら禍なるかな今にいたるまで斯ることなかりき 4.8ああ我等禍なるかな誰かわれらを是らの強き神の手よりすくひいださんや此等の神は昔し諸の災を以てエジプト人を曠野に撃し者なり 4.9ペリシテ人よ強くなり豪傑のごとく爲せヘブル人がかつて汝らに事へしごとく汝らこれに事ふるなかれ豪傑のごとく爲して戰へよ 4.10かくてペリシテ人戰ひしかばイスラエル人やぶれて各々其天幕に逃かへる戰死はなはだ多くイスラエルの歩兵の仆れし者三萬人なりき 4.11又神の櫃は奪はれエリの二人の子ホフニとピネハス殺さる 4.12是日ベニヤミンの一人軍中より走來り其衣を裂き土をかむりてシロにいたる 4.13其いたれる時エリ道の傍に壇に坐して觀望居たり其心に神の櫃のことを思ひ煩らひたればなり其人いたり邑にて人々に告ければ邑こぞりてさけびたり 4.14エリ此呼號の聲をききていひけるは是喧嘩の聲は何なるやと其人いそぎきたりてエリにつぐ 4.15時にエリ九十八歳にして其目かたまりて見ることあたはず 4.16其人エリにいひけるは我は軍中より來れるもの我今日軍中より逃れたりエリいひけるは吾子よ事いかん 4.17使人答へていひけるはイスラエル人ペリシテ人の前に逃げ且民の中に大なる戰死ありまた汝の二人の子ホフニとピネハスは殺され神の櫃は奪はれたり 4.18神の櫃のことを演しときエリ其壇より仰けに門の傍におち頸をれて死ねり是はかれ老て身重かりければなり其イスラエルを鞫しは四十年なりき 4.19エリの媳ピネハスの妻孕みて子產ん時ちかかりしが神の櫃の奪はれしと舅と夫の死にしとの傳言を聞しかば其痛みおこりきたり身をかがめて子を產り 4.20其死なんとする時傍にたてる婦人これにいひけるは懼るるなかれ汝男子を生りと然ども答へず又かへりみず 4.21只榮光イスラエルをさりぬといひて其子をイカボデ(榮なし)と名く是は神の櫃奪はれしによりまた舅と夫の故に因るなり 4.22またいひけるは榮光イスラエルをさりぬ神の櫃うばはれたればなり

5
5.1ペリシテ人神の櫃をとりて之をエベネゼルよりアシドドにもちきたる 5.2即ちペリシテ人神の櫃をとりて之をダゴンの家にもちきたりダゴンの傍に置ぬ 5.3アシドド人次の日夙く興きヱホバの櫃のまへにダゴンの俯伏に地にたふれをるをみ乃ちダゴンをとりて再びこれを本の處におく 5.4また翌朝夙く興きヱホバの櫃のまへにダゴン俯伏に地にたふれをるを見るダゴンの頭と其兩手門閾のうへに斷ち切れをり只ダゴンの體のみのこれり 5.5是をもてダゴンの祭司およびダゴンの家にいるもの今日にいたるまでアシドドにあるダゴンの閾をふまず 5.6かくてヱホバの手おもくアシドド人にくははりヱホバこれをほろぼし腫物をもてアシドドおよび其四周の人をくるしめたまふ 5.7アシドド人その斯るを見ていひけるはイスラエルの神の櫃を我らのうちにとどむべからず其は其手いたくわれらおよび我らの神ダゴンにくははればなり 5.8是故に人をつかはしてペリシテ人の諸君主を集めていひけるはイスラエルの神の櫃をいかにすべきや彼らいひけるはイスラエルの神のはこはガテに移さんと遂にイスラエルの神のはこをうつす 5.9之をうつせるのち神の手其邑にくははりて滅亡るもの甚だおほし即ち老たると幼とをいはず邑の人をうちたまひて腫物人々におこれり 5.10是において神のはこをエクロンにおくりたるに神の櫃エクロンにいたりしときエクロン人さけびていひけるは我等とわが民をころさんとてイスラエルの神のはこを我等にうつすと 5.11かくて人を遣してペリシテ人の諸君主をあつめていひけるはイスラエルの神の櫃をおくりて本のところにかへさん然らば我等とわが民をころすことなからん蓋は邑中に恐ろしき滅亡おこり神の手甚だおもく其處にくははればなり 5.12死なざる者は腫物にくるしめられ邑の號呼天に達せり

6
6.1ヱホバの櫃七月のあひだペリシテ人の國にあり 6.2ペリシテ人祭司と卜筮師をよびていひけるは我らヱホバの櫃をいかがせんや如何にして之をもとの所にかへすべきか我らにつげよ 6.3答へけるはイスラエルの神の櫃をかへすときはこれを空しくかへすなかれ必らず彼に過祭をなすべし然なさば汝ら愈ことをえ且彼の手の汝らをはなれざる故を知にいたらん 6.4人々いひけるは如何なる過祭を彼になすべきや答へけるはペリシテ人の諸君主の數にしたがひて五の金の腫物と五の金の鼠をつくれ是は汝ら皆と汝らの諸伯におよべる災は一なるによる 6.5汝らの腫物の像および地をあらす鼠の像をつくりイスラエルの神に榮光を皈すべし庶幾はその手を汝等およびなんぢらの神と汝等の地にくはふることを軽くせん 6.6汝らなんぞエジプト人とパロの其心を頑にせしごとくおのれの心をかたくなにするや神かれらの中に數度其力をしめせしのち彼ら民をゆかしめ民つひにさりしにあらずや 6.7されば今あたらしき車一輛をつくり乳牛のいまだ軛をつけざるもの二頭をとり其牛を車に繋ぎ其犢をはなして家につれゆき 6.8ヱホバの櫃をとりて之を其車に載せ汝らが過祭として彼になす金の製作物を檟にをさめて其傍におき之をおくりて去らしめ 6.9しかして見よ若し其境のみちよりベテシメシにのぼらばこの大なる災を我らになせるものは彼なり若ししかせずば我等をうちしは彼の手にあらずしてそのことの偶然なりしをしるべし 6.10人々つひに斯なし二つの乳牛をとりて之を車につなぎその犢を室にとぢこめ 6.11ヱホバの櫃および金の鼠と其腫物の像ををさめたる檟を車に載す 6.12牝牛直にあゆみてベテシメシの路をゆき鳴つつ大路をすすみゆきて右左にまがらずペリシテ人の君主ベテシメシの境まで其うしろにしたがひゆけり 6.13時にベテシメシ人谷に麥を刈り居たりしが目をあげて其櫃をみ之を見るをよろこべり 6.14車ベテシメシ人ヨシユアの田にいりて其處にとどまる此に大なる石あり人々車の木を劈り其牝牛を燔祭としてヱホバにささげたり 6.15レビの人ヱホバの櫃とこれとともなる檟の金の製作物ををさめたる者をとりおろし之を其大石のうへにおくしかしてベテシメシ人此日ヱホバに燔祭をそなへ犠牲をささげたり 6.16ペリシテ人の五人の君主これを見て同じ日にエクロンにかへれり 6.17さてペリシテ人が過祭としてヱホバにたせし金の腫物はこれなり即ちアシドドのために一ガザのために一アシケロンのために一ガテのために一エクロンのために一なりき 6.18また金の鼠は城邑と郷里をいはず凡て五人の君主に屬するペリシテ人の邑の數にしたがひて造れりヱホバの櫃をおろせし大石今日にいたるまでベテシメシ人ヨシユアの田にあり 6.19ベテシメシの人々ヱホバの櫃をうかがひしによりヱホバこれをうちたまふ即ち民の中七十人をうてりヱホバ民をうちて大にこれをころしたまひしかば民なきさけべり 6.20ベテシメシ人いひけるは誰かこの聖き神たるヱホバのまへに立つことをえんヱホバ我らをはなれて何人のところにのぼりゆきたまふべきや 6.21かくて使者をキリアテヤリムの人に遣はしていひけるはペリシテ人ヱホバの櫃をかへしたれば汝らくだりて之を汝らの所に携へのぼるべし

7
7.1キリアテヤリムの人來りヱホバのはこを携へのぼりこれを山のうへなるアビナダブの家にもちきたり其子エレアザルを聖てヱホバの櫃をまもらしむ 7.2其櫃キリアテヤリムにとどまること久しくして二十年をへたりイスラエルの全家ヱホバをしたひて歎けり 7.3時にサムエル、イスラエルの全家に告ていひけるは汝らもし一心を以てヱホバにかへり異る神とアシタロテを汝らの中より棄て汝らの心をヱホバに定め之にのみ事へなばヱホバ汝らをペリシテ人の手より救ひださん 7.4ここにおいてイスラエルの人々バアルとアシタロテをすててヱホバにのみ事ふ 7.5サムエルいひけるはイスラエル人をことごとくミズパにあつめよ我汝らのためにヱホバにいのらん 7.6かれらミズパに集り水を汲て之をヱホバのまへに注ぎ其日斷食して彼處にいひけるは我等ヱホバに罪ををかしたりとサムエル、ミズパに於てイスラエルの人を鞫く 7.7ペリシテ人イスラエルの人々のミズパに集れるを聞しかばペリシテ人の諸君主イスラエルにせめのぼれりイスラエル人これを聞てペリシテ人をおそれたり 7.8イスラエルの人々サムエルに云けるは我らのために我らの神ヱホバに祈ることをやむるなかれ然らばヱホバ我らをペリシテ人の手よりすくひいださん 7.9サムエル哺乳羊をとり燔祭となしてこれをまつたくヱホバにささぐまたサムエル、イスラエルのためにヱホバにいのりければヱホバこれにこたへたまふ 7.10サムエル燔祭をささげ居し時ペリシテ人イスラエル人と戰はんとて近づきぬ是日ヱホバ大なる雷をくだしペリシテ人をうちて之を亂し賜ければペリシテ人イスラエル人のまへに敗れたり 7.11イスラエル人ミズパをいでてペリシテ人をおひ之をうちてベテカルの下にいたる 7.12サムエル一の石をとりてミズパとセンの間におきヱホバ是まで我らを助けたまへりといひて其名をエベネゼル(助けの石)と呼ぶ 7.13ペリシテ人攻伏られて再びイスラエルの境にいらずサムエルの一生のあひだヱホバの手ペリシテ人をふせげり 7.14ペリシテ人のイスラエルより取たる邑々はエクロンよりガテまでイスラエルにかへりぬまた其周圍の地はイスラエル人これをペリシテ人の手よりとりかへせりまたイスラエル人とアモリ人と好をむすべり 7.15サムエル一生のあひだイスラエルをさばき 7.16歳々ベテルとギルガルおよびミズパをめぐりて其處々にてイスラエル人をさばき 7.17またラマにかへれり此處に其家あり此にてイスラエルをさばき又此にてヱホバに壇をきづけり

8
8.1サムエル年老て其子をイスラエルの士師となす 8.2兄の名をヨエルといひ弟の名をアビヤといふベエルシバにありて士師たり 8.3其子父の道をあゆまずして利にむかひ賄賂をとりて審判を曲ぐ 8.4是においてイスラエルの長老みなあつまりてラマにゆきサムエルの許に至りて 8.5これにいひけるは視よ汝は老い汝の子は汝の道をあゆまずさればわれらに王をたててわれらを鞫かしめ他の國々のごとくならしめよと 8.6その我らに王をあたへて我らを鞫かしめよといふを聞てサムエルよろこばず而してサムエル、ヱホバにいのりしかば 8.7ヱホバ、サムエルにいひたまひけるは民のすべて汝にいふところのことばを聽け其は汝を棄るにあらず我を棄て我をして其王とならざらしめんとするなり 8.8かれらはわがエジプトより救ひいだせし日より今日にいたるまで我をすてて他の神につかへて種々の所行をなせしごとく汝にもまた然す 8.9然れどもいま其言をきけ但し深くいさめて其治むべき王の常例をしめすべし 8.10サムエル王を求むる民にヱホバのことばをことごとく告て 8.11いひけるは汝等ををさむる王の常例は斯のごとし汝らの男子をとり己れのために之をたてて車の御者となし騎兵となしまた其車の前驅となさん 8.12また之をおのれの爲に千夫長五十夫長となしまた其地をたがへし其作物を刈らしめまた武器と車器とを造らしめん 8.13また汝らの女子をとりて製香者となし厨婢となし灸麺者となさん 8.14又汝らの田畝と葡萄園と橄欖園の最も善きところを取て其臣僕にあたへ 8.15汝らの穀物と汝らの葡萄の什分一をとりて其官吏と臣僕にあたへ 8.16また汝らの僕婢および汝らの最も善き牛と汝らの驢馬を取ておのれのために作かしめ 8.17又汝らの羊の十分一をとり又汝らを其僕となさん 8.18其日において汝等己のために擇みし王のことによりて呼號らんされどヱホバ其日に汝らに聽たまはざるべしと 8.19然るに民サムエルの言にしたがふことをせずしていひけるは否われらに王なかるべからず 8.20我らも他の國々の如くになり我らの王われらを鞫きわれらを率て我らの戰にたたかはん 8.21サムエル民のことばを盡く聞て之をヱホバの耳に告ぐ 8.22ヱホバ、サムエルにいひたまひけるはかれらのことばを聽きかれらのために王をたてよサムエル、イスラエルの人々にいひけるは汝らおのおの其邑にかへるべし

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9.1茲にベニヤミンの人にてキシと名くる力の大なるものありキシはアビエルの子アビニルはゼロンの子ゼロンはベコラテの子ベコラテはアビヤの子アビヤはベニヤミンの子なり 9.2キシにサウルと名くる子あり壯にして美はしイスラエルの子孫の中に彼より美はしき者たく肩より上民のいづれの人よりも高し 9.3サウルの父キシの驢馬失ぬキシ其子サウルにいひけるは一人の僕をともなひ起ちてゆき驢馬を尋ねよ 9.4サウル、ニフライムの山地を通り過ぎシヤリシヤの地を通りすぐれども見あたらずシヤリムの地を通りすぐれども居らずベニヤミンの地をとほりすぐれども見あたらず 9.5かれらツフの地にいたれる時サウル其ともなへる僕にいひけるはいざ還らん恐らくはわが父驢馬の事を措て我等の事を思ひ煩はん 9.6僕これにいひけるは此邑に神の人あり尊き人にして其言ふところは皆必らず成る我らかしこにいたらんかれ我らがゆくべき路をわれらにしめすことあらん 9.7サウル僕にいひけるは我らもしゆかば何を其人におくらんか器のパンは旣に罄て神の人におくるべき禮物あらず何かあるや 9.8僕またサウルにこたへていひけるは視よわが手に銀一シケルの四分の一あり我これを神の人にあたへて我らに路をしめさしめんと 9.9昔しイスラエルにおいては人神にとはんとてゆく時はいざ先見者にゆかんといへり其は今の預言者は昔しは先見者とよばれたればなり 9.10サウル僕にいひけるは善くいへりいざゆかんとて神の人のをる邑におもむけり 9.11かれら邑にいる坂をのぼれる時童女數人の水くみにいづるにあひ之にいひけるは先見者は此にをるや 9.12答ていひけるはをる視よ汝のまへにをる急ぎゆけ今日民崇邱にて祭をなすにより彼けふ邑にきたれり 9.13汝ら邑にる時かれが崇邱にのぼりて食に就くまへに直ちにかれにあはん其は彼まづ祭品を祝してしかるのち招かれたる者食ふべきに因りかれが來るまでは民食はざるなり故に汝らのぼれ今かれにあはんと 9.14かれら邑にのぼりて邑のなかにいるとき視よサムエル崇邱にのぼらんとてかれらにむかひて出きたりぬ 9.15ヱホバ、サウルのきたる一日まへにサムエルの耳につげていひたまひけるは 9.16明日いまごろ我ベニヤミンの地より一箇の人を汝につかはさん汝かれに膏を注ぎてわが民イスラエルの長となせかれわが民をペリシテ人の手より救ひいださんわが民のさけび我に達せしにより我是をかへりみるなり 9.17サムエル、サウルを見るときヱホバこれにいひたまひけるは視よわが汝につげしは此人なり是人わが民ををさむべし 9.18サウル門の中にてサムエルにちかづきいひけるは先見者の家はいづくにあるや請ふ我につげよ 9.19サムエル、サウルにこたへていひけるは我はすなはち先見者なり汝わがまへにゆきて崇邱にのぼれ汝ら今日我とともに食す可し明日われ汝をさらしめ汝の心にあることを悉く汝にしめさん 9.20三日まへに失たる汝の驢馬は旣に見あたりたれば之をおもふなかれ抑もイスラエルの總ての寶は誰の者なるや即ち汝と汝の父の家のものならずや 9.21サウルこたへていひけるは我はイスラエルの支派の最も小き支派なるベニヤミンの人にしてわが族はベニヤミンの支派の諸の族の最も小き者に非やなんぞ斯る事を我にかたるや 9.22サムエル、サウルと其僕をみちびきて堂にいり招かれたる三十人ばかりの者の中の最も上に坐せしむ 9.23サムエル庖人にいひけるはわが汝にわたして汝の許におけといひし分をもちきたれ 9.24庖人肩と肩に屬る者をとりあげて之をサウルのまへに置くサムエルいひけるは視よ是は存へおきたる物なり汝のまへにおきて食へ其はわれ民をまねきし時よりこれを汝の爲にたくはへおきたればなりかくてサウル此日サムエルとともに食せり 9.25崇邱をくだりて邑にいりし時サムエル、サウルとともに屋背の上にてものがたる 9.26かれら早くおく即ちサムエル曙に屋背の上なるサウルをよびていけるは起よわれ汝をかへさんとサウルすなはちおきあがるサウルとサムエルともに外にいで 9.27邑の極處にくだれるときサムエル、サウルにいひけるは僕に命じて我等の先にゆかしめよ(僕先にゆく)しかして汝暫くとどまれ我汝に神の言をしめさん

10
10.1サムエルすなはち膏の瓶をとりてサウルの頭に沃ぎ口接して曰けるはヱホバ汝をたてて其產業の長となしたまふにあらずや 10.2汝今日我をはなれて去りゆく時ベニヤミンの境のゼルザにあるラケルの墓のかたはらにて二人の人にあふべしかれら汝にいはん汝がたづねにゆきし驢馬は見あたりぬ汝の父驢馬のことをすてて汝らのことをおもひわづらひわが子の事をいかがすべきやといへりと 10.3其處より汝尚すすみてタボルの橡の樹のところにいたらんに彼處にてベテルにのぼり神にまうでんとする三人の者汝にあはん一人は三頭の山羊羔を携へ一人は三團のパンをたづさへ一人は一嚢の酒をたづさふ 10.4かれら汝に安否をとひ二團のパンを汝にあたへん汝之を其手よりうくべし 10.5其の後汝神のギベアにいたらん其處にペリシテ人の代官あり汝彼處にゆきて邑にいるとき一群の預言者の瑟と鼗と笛と琴を前に執らせて預言しつつ崇邱をくだるにあはん 10.6其の時神のみたま汝にのぞみて汝かれらとともに預言し變りて新しき人とならん 10.7是らの徴汝の身におこらば手のあたるにまかせて事を爲すべし神汝とともにいませばなり 10.8汝我にさきだちてギルガルにくだるべし我汝の許にくだりて燔祭を供へ酬恩祭を献げんわが汝のもとに至り汝の爲すべきことを示すまで汝七日のあひだ待つべし 10.9サケウル背をかへしてサムエルを離れし時神之に新しき心をあたへたまふしかして此しるし皆其日におこれり 10.10ふたり彼處にゆきてギベアにいたれるときみよ一群の預言者これにあふしかして神の霊サウルにのぞみてサウルかれらの中にありて預言せり 10.11素よりサウルを識る人々サウルの預言者と偕に預言するを見て互ひにいひけるはキシの子サウル今何事にあふやサウルも預言者の中にあるやと 10.12其處の人ひとり答へて彼等の父は誰ぞやといふ是故にサウルも預言者の中にあるやといふは諺となれり 10.13サウル預言を終て崇邱にいたるに 10.14サウルの叔父サウルと僕にいひけるは汝ら何處にゆきしやサウルいひけるは驢馬を尋ねに出しが何處にもをらざるを見てサムエルの許にいたれり 10.15サウルの叔父いひけるはサムエルは汝に何をいひしか請ふ我につげよ 10.16サウル叔父にいひけるは明かに驢馬の見あたりしを告げたりと然れどもサムエルが言る國王の事はこれにつげざりき 10.17サムエル民をミヅパにてヱホバのまへに集め 10.18イスラエルの子孫にいひけるはイスラエルの神ヱホバ斯くいひたまふ我イスラエルをみちびきてエジプトより出し汝らをエジプト人の手および凡て汝らを虐遇る國人の手より救ひいだせり 10.19然るに汝らおのれを患難と難苦のうちより救ひいだしたる汝らの神を棄て且否われらに王をたてよといへり是故にいま汝等の支派と群にしたがひてヱホバのまへに出よ 10.20サムエル、イスラエルの諸の支派を呼よせし時ベニヤミンの支派籤にあたりぬ 10.21またベニヤミンの支派を其族のかずにしたがひて呼よせしときマテリの族籤にあたりキシの子サウル籤にあたれり人々かれを尋ねしかども見出ざれば 10.22またヱホバに其人は此に來るや否やを問しにヱホバ答たまはく視よ彼は行李のあひだにかくると 10.23人々はせゆきて彼を其處よりつれきたれり彼民の中にたつに肩より以上民の何の人よりも高かりき 10.24サムエル民にいひけるは汝らヱホバの擇みたまひし人を見るか民のうちに是人の如き者とし民みなよばはりいひけるは願くは王いのちながかれ 10.25時にサムエル王國の典章を民にしめして之を書にしるし之をヱホバのまへに蔵めたりしかしてサムエル民をことごとく其家にかへらしむ 10.26サウルもまたギベアの家にかへるに神に心を感ぜられたる勇士等これとともにゆけり 10.27然れども邪なる人々は彼人いかで我らを救はんやといひて之を蔑視り之に禮物をおくらざりしかどサウルは唖のごとくせり

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11.1アンモニ人ナハシ、ギレアデのヤベシにのぼりて之を圍むヤベシの人々ナハシにいひけるは我らと約をなせ然らば汝につかへん 11.2アンモニ人ナハシこれに答へけるは我かくして汝らと約をなさん即ち我汝らの右の目を抉りてイスラエルの全地に恥辱をあたへん 11.3ヤベシの長老これにいひけるは我らに七日の猶予をあたへて使をイスラエルの四方の境におくることを得さしめよ而して若し我らを救ふ者なくば我ら汝にくだらん 11.4斯て使サウルのギベアにいたり此事を民の耳に告しかば民皆聲をあげて哭きぬ 11.5爰にサウル田より牛にしたがひて來るサウルいひけるは民何によりて哭くやと人々これにヤベシ人の事を告ぐ 11.6サウル之を聞るとき神の霊これに臨みてその怒甚だしく燃えたち 11.7一軛の牛をころしてこれを切り割き使の手をもてこれをイスラエルの四方の境にあまねくおくりていはしめけるは誰にてもサウルとサムエルにしたがひて出ざる者は其牛かくのごとくせらるべしと民ヱホバを畏み一人のごとく均くいでたり 11.8サウル、ベゼクにてこれを數ふるにイスラエルの子孫三十萬ユダの人三萬ありき 11.9斯て人々來れる使にいひけるはギレアデのヤベシの人にかくいへ明日日の熱き時汝ら助を得んと使かへりてヤベシ人に告げければ皆よろこびぬ 11.10是をもてヤベシの人云けるは明日汝らに降らん汝らの善と思ふところを爲せ 11.11明日サウル民を三隊にわかち暁更に敵の軍の中にいりて日の熱くなる時までアンモニ人をころしければ遺れる者は皆ちりぢりになりて二人倶にあるものなかりき 11.12民サムエルにいひけるはサウル豈我らの王となるべけんやと言しは誰ぞや其人を引き來れ我ら之をころさん 11.13サウルいひけるは今日ヱホバ救をイスラエルに施したまひたれば今日は人をころすべからず 11.14茲にサムエル民にいひけるはいざギルガルに往て彼處にて王國を新にせんと 11.15民みなギルガルにゆきて彼處にてヱホバのまへにサウルを王となし彼處にて酬恩祭をヱホバのまへに献げサウルとイスラエルの人々皆かしこにて大に祝へり

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12.1サムエル、イスラエルの人々にいひけるは視よ我汝らが我にいひし言をことごとく聽て汝らに王を立たり 12.2見よ今王汝らのまへにあゆむ我は老て髮しろし視よわが子ども汝らと共にあり我幼稚時より今日にいたるまで汝等のまへにあゆめり 12.3視よ我ここにありヱホバのまへと其膏そそぎし者のまへに我を訴へよ我誰の牛を取りしや誰の驢馬をとりしや誰を掠めしや誰を虐遇しや誰の手より賄賂をとりてわが目を矇せしや有ば我これを汝らにかへさん 12.4彼らいひけるは汝は我らをかすめずくるしめず又何をも人の手より取りしことなし 12.5サムエルかれらにいひけるは汝らが我手のうちに何をも見いださざるをヱホバ汝らに證したまふ其膏そそぎし者も今日證す彼ら答へけるは證したまふ 12.6サムエル民にいひけるはヱホバはモーセとアロンをたてし者汝らの先祖をエジプトの地より導きいだせしものなり 12.7立ちあがれヱホバが汝らおよび汝らの先祖になしたまひし諸の義しき行爲につきて我ヱホバのまへに汝らと論ぜん 12.8ヤコブのエジプトにいたるにおよびて汝らの先祖のヱホバに呼はりし時ヱホバ、モーセとアロンを遣はしたまひて此二人汝らの先祖をエジプトより導きいだして此處にすましめたり 12.9しかるに彼ら其神ヱホバを忘れしかばヱホバこれをハゾルの軍の長シセラの手とペリシテ人の手およびモアブ王の手にわたしたまへり斯て彼らこれを攻ければ 12.10民ヱホバに呼はりていひけるは我らヱホバを棄てバアルとアシタロテに事へてヱホバに罪を犯したりされど今我らを敵の手より救ひいだしたまへ我ら汝につかへんと 12.11是においてヱホバ、ヱルバアルとバラクとエフタとサムエルを遣はして汝らを四方の敵の手より救ひいだしたまひて汝ら安らかに住めり 12.12しかるに汝らアンモンの子孫の王ナハシの汝らを攻んとて來るを見て汝らの神ヱホバ汝らの王なるに汝ら我にいふ否我らををさむる王なかるべからずと 12.13今汝らが選みし王汝らがねがひし王を見よ視よヱホバ汝らに王をたてたまへり 12.14汝らもしヱホバを畏みて之につかへ其言にしたがひてヱホバの命にそむかずまた汝らと汝らををさむる王恒に汝らの神ヱホバに從はば善し 12.15しかれども汝らもしヱホバの言にしたがはずしてヱホバの命にそむかばヱホバの手汝らの先祖をせめしごとく汝らをせむべし 12.16汝ら今たちてヱホバが爾らの目のまへになしたまふ此大なる事を見よ 12.17今日は麥刈時にあらずや我ヱホバを呼んヱホバ雷と雨をくだして汝らが王をもとめてヱホバのまへに爲したる罪の大なるを見しらしめたまはん 12.18かくてサムエル、ヱホバをよびければヱホバ其日雷と雨をくだしたまへり民みな大にヱホバとサムエルを恐る 12.19民みなサムエルにいひけるは僕らのために汝の神ヱホバにいのりて我らを死なざらしめよ我ら諸の罪にまた王を求むるの惡をくはへたればなり 12.20サムエル民にいひけるは懼るなかれ汝らこの總ての惡をなしたりされどヱホバに從ふことを息ず心をつくしてヱホバに事へ 12.21虚しき物に迷ひゆくなかれ是は虚しき物なれば汝らを助くることも救ふことも得ざるなり 12.22ヱホバ其大なる名のために此民をすてたまはざるべし其はヱホバ汝らをおのれの民となすことを善としたまへばなり 12.23また我は汝らのために祈ることをやめてヱホバに罪ををかすことは決てせざるべし且われ善き正しき道をもて汝らををしへん 12.24汝ら只ヱホバをかしこみ心をつくして誠にこれにつかへよ而して如何に大なることをヱホバ汝らになしたまひしかを思ふ可し 12.25しかれども汝らもしなほ惡をなさば汝らと汝らの王ともにほろぼさるべし

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13.1サウル三十歳にて王の位に即く彼二年イスラエルををさめたり 13.2爰にサウル、イスラエル人三千を擇む其二千はサウルとともにミクマシおよびベテルの山地にあり其一千はヨナタンとともにベニヤミンのギベアにあり其餘の民はサウルおのおの其幕屋にかへらしむ 13.3ヨナタン、ゲバにあるペリシテ人の代官をころせりペリシテ人之れをきく是においてサウル國中にあまねくラツパを吹ていはしめけるはヘブル人よ聞くべし 13.4イスラエル人皆聞けるに云くサウル、ペリシテ人の代官を撃りしかしてイスラエル、ペリシテ人の中に惡まると斯て民めされてサウルにしたがひギルガルにいたる 13.5ペリシテ人イスラエルと戰はんとて集りけるが兵車三百騎兵六千にして民は濱の沙の多きがごとくなりき彼らのぼりてベテアベンにむかへるミクマシに陣をとれり 13.6イスラエルの人苦められ其危きを見て皆巖穴に林叢に崗巒に高塔に坎阱にかくれたり 13.7また或るヘブル人はヨルダンを渉りてガドとギレアデの地にいたる然るにサウルは尚ギルガルにあり民皆戰慄て之にしたがふ 13.8サウル、サムエルの定めし期にしたがひて七日とどまりしがサムエル、ギルガルに來らず民はなれて散ければ 13.9サウルいひけるは燔祭と酬恩祭を我にもちきたれと遂に燔祭をささげたり 13.10燔祭をささぐることを終しときに視よサムエルいたるサウル安否を問はんとてこれをいで迎ふに 13.11サムエルいひけるは汝何をなせしやサウルいひけるは我民の我をはなれてちりまた汝の定まれる日のうちに來らずしてペリシテ人のミクマシに集まれるを見しかば 13.12ペリシテ人ギルガルに下りて我をおそはんに我いまだヱホバをなごめずといひて勉て燔祭をささげたり 13.13サムエル、サウルにいひけるは汝おろかなることをなせり汝その神ヱホバのなんぢに命じたまひし命令を守らざりしなり若し守りしならばヱホバ、イスラエルををさむる位を永く汝に定めたまひしならん 13.14然どもいま汝の位たもたざるべしヱホバ其心に適ふ人を求めてヱホバ之に其民の長を命じたまへり汝がヱホバの命ぜしことを守らざるによる 13.15かくてサムエルたちてギルガルよりベニヤミンのギベアにのぼりいたる 13.16サウルおのれとともにある民をかぞふるに凡そ六百人ありき 13.17サウルおよび其子ヨナタン並にこれとともにある民はベニヤミンのゲバに居りペリシテ人はミクマシに陣を張る 13.18劫掠人三隊にわかれてペリシテ人の陣よりいで一隊はオフラの路にむかひてシユアルの地にいたり 13.19一隊はベテホロンの道に向ひ一隊は曠野の方にあるゼボイムの谷をのぞむ境の路にむかふ 13.20時にイスラエルの地のうち何處にも鐵工なかりき是はペリシテ人ヘブル人の劍あるひは槍を作ることを恐れたればなり 13.21イスラエル人皆其耜鋤斧耒即ち耜鋤三歯鍬斧の錣に缺ありてこれを鍛ひ改さんとする時又は鞭を尖らさんとする時は常にペリシテ人の所にくだれり 13.22是をもて戰の日にサウルおよびヨナタンとともにある民の手には劍も槍も見えず只サウルと其子ヨナクンのみ持り 13.23茲にペリシテ人の先陣ミクマシの渡口に進む

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14.1其時サウルの子ヨナタン武器を執る若者にいひけるはいざ對面にあるペリシテ人の先陣に渉りゆかんと然ど其父には告ざりき 14.2サウル、ギベアの極においてミグロンにある石榴の樹の下に住まりしが倶にある民はおよそ六百人なりき 14.3又アヒヤ、エポデを衣てともにをるアヒヤはアヒトブの子アヒトブはイカボデの兄弟イカボデばピネハスの子ピネハスはシロにありてヱホバの祭司たりしエリの子なり民ヨナタンの行けるをしらざりき 14.4ヨナタンの渉りてペリシテ人の先陣にいたらんとする渡口の間に此傍に巉巌あり彼傍にも巉巌あり一の名をボゼツといひ一の名をセネといふ 14.5其一は北に向ひてミクマシに對し一に南にむかひてゲバに對す 14.6ヨナタン武器を執る少者にいふいざ我ら此割禮なき者どもの先陣にわたらんヱホバ我らのためにはたらきたまことあらん多くの人をもて救ふも少き人をもてすくふもヱホバにおいては妨げなし 14.7武器をとるもの之にいひけるは總て汝の心にあるところをなせ進めよ我汝の心にしたがひて汝とともにあり 14.8ヨナタンいひけるは見よ我らかの人々のところにわたり身をかれらにあらはさん 14.9かれら若し我らが汝らにいたるまでとどまれと斯く我らにいはば我らはこのままとどまりてかれらの所にのぼらじ 14.10されど若し我らのところにのぼれとかくいはば我らのぼらんヱホバかれらを我らの手にわたしたまふなり是を徴となさんと 14.11斯て二人其身をペリシテ人の先陣にあらはしければペリシテ人いひけるは視よヘブル人其かくれたる穴よりいで來ると 14.12すなはち先陣の人ヨナタンと其武器を執る者にこたへて我等の所に上りきたれ目に物見せんといひしかばヨナタン武器を執る者にいひけるは我にしたがひてのぼれヱホバ彼らをイスラエルの手にわたしたまふなり 14.13ヨナタン攀のぼり其武器を執るもの之にしたがふペリシテ人ヨナタンのまへに仆る武器をとる者も後にしたがひて之をころす 14.14ヨナタンと其武器を取るもの手はじめに殺せし者およそ二十人此事田畑半段の内になれり 14.15しかして野にある陣のものおよび凡ての民の中に戰慄おこり先陣の人および劫掠人もまたおののき地ふるひ動けり是は神よりの戰慄なりき 14.16ベニヤミンのギベアにあるサウルの戌卒望見しに視よペリシテ人の群衆くづれて此彼にちらばる 14.17時にサウルおのれとともなる民にいひけるは汝ら點驗て誰が我らの中よりゆきしかを見よとすなはちしらべたるにヨナタンとその武器を執るもの居らざりき 14.18サウル、アヒヤにエポデを持きたれといふ其はかれ此時イスラエルのまへにエポデを著たれば也 14.19サウル祭司にかたれる時ペリシテ人の軍の騒いよいよましたりければサウル祭司にいふ姑く汝の手を措けと 14.20かくてサウルおよびサウルと共にある民皆呼はりて戰ひに至るにペリシテ人おのおの劍を以て互に相撃ちければその敗績はなはだ大なりき 14.21また此時よりまへにペリシテ人とともにありてペリシテ人と共に上りて陣に來るところのヘブル人もまた翻へりてサウルおよびヨナタンと共にあるイスラエル人に合せり 14.22又エフライムの山地にかくれたるイスラエル人皆ペリシテ人の逃るを聞てまた戰ひに出て之を追撃り 14.23是の如くヱホバ此日イスラエルをすくひたまふ而して戰はベテアベンにうつれり 14.24されど此日イスラエル人苦めり其はサウル民を誓はせて夕まで即ちわが敵に仇をむくゆるまでに食物を食ふ者は呪詛れんと言たればなり是故に民の中に食物を味ひし者なし 14.25爰に民みな林森に至に地の表に蜜あり 14.26即ち民森にいたりて蜜のながるるをみる然ども民誓を畏るれば誰も手を口につくる者なし 14.27然にヨナタンは其父が民をちかはせしを聞ざりければ手にある杖の末をのばして蜜にひたし手を口につけたり是に由て其目あきらかになりぬ 14.28時に民のひとり答て言けるは汝の父かたく民をちかはせて今日食物をくらふ人は呪詛はれんと言り是に由て民つかれたり 14.29ヨナタンいひけるはわが父國を煩せり請ふ我この蜜をすこしく嘗しによりて如何にわが目の明かになりしかを見よ 14.30ましてや民今日敵よりうばひし物を十分に食しならばペリシテ人をころすこと更におほかるべきにあらずや 14.31イスラエル人かの日ペリシテ人を撃てミクマシよりアヤロンにいたる而して民はなはだ疲たり 14.32是において民劫掠物に走かかり羊と牛と犢とを取りて之を地のうへにころし血のままに之をくらふ 14.33人々サウルにつげていひけるは民肉を血のままに食ひて罪をヱホバにをかすとサウルいひけるは汝ら背けり直ちにわがもとに大石をまろばしきたれ 14.34サウルまたいひけるは汝らわかれて民のうちにいりていへ人各其牛と各其羊をわがもとに引ききたり此處にてころしくらへ血のままにくらひて罪をヱホバに犯すなかれと此において民おのおのこの夜其牛を手にひききたりて之をかしこにころせり 14.35しかしてサウル、ヱホバに一つの壇をきづく是はサウルのヱホバに壇を築ける始なり 14.36斯てサウルいひけるは我ら夜のうちにペリシテ人を追くだり夜明までかれらを掠めて一人をも殘すまじ皆いひけるは凡て汝の目に善とみゆる所をなせと時に祭司いひけるは我ら此にちかより神にもとめんと 14.37サウル神に我ペリシテ人をおひくだるべきか汝かれらをイスラエルの手にわたしたまふやと問けれど此日はこたへたまはざりき 14.38是においてサウルいひけるは民の長たちよ皆此にちかよれ汝らみて今日のこの罪のいづくにあるを知れ 14.39イスラエルを救ひたまへるヱホバはいく假令わが子ヨナタンにもあれ必ず死なざるべからずとされど民のうち一人もこれにこたへざりき 14.40サウル、イスラエルの人々にいひけるはなんぢらは彼處にをれ我とわが子ヨナタンは此處にをらんと民いひけるは汝の目によしとみゆるところをなせ 14.41サウル、イスラエルの神ヱホバにいひけるはねがはくは眞實をしめしたまへとかくてヨナタンとサウル籤にあたり民はのがれたり 14.42サウルいひけるは我とわが子のあひだの鬮を掣けと即ちヨナタンこれにあたれり 14.43サウル、ヨナタンにいひけるは汝がなせしところを我に告よヨナタンつげていひけるは我は只わが手の杖の末をもて少許の蜜をなめしのみなるが我しなざるをえず 14.44サウルこたへけるは神かくなしまたかさねてかくなしたまヘヨナタンよ汝死ざるべからず 14.45民サウルにいひけるはイスラエルの中に此大なるすくひをなせるヨナタン死ぬべけんや決めてしからずヱホバは生くヨナタンの髮の毛ひとすぢも地におつべからず其はかれ神とともに今日はたらきたればなりとかく民ヨナタンをすくひて死なざらしむ 14.46サウル、ペリシテ人を追ことを息てのぼりぬペリシテ人其國にかへれり 14.47かくてサウル、イスラエルの王の位につきて四方の敵を攻む即ちモアブ、アンモンの子孫エドム、ゾバの王たちおよびペリシテ人をせめけるに凡てむかふところにて勝利を得たり 14.48サウル力をえアマレク人をうちてイスラエルを其劫掠人の手よりすくひいだせり 14.49サウルの男子はヨナタン、ヱスイおよびマルキシユアなり其二人の女子の名は姉はメラブといひ妹はミカルといふ 14.50サウルの妻の名はアヒノアムといひてアヒマアズの女子なり其軍の長の名はアブネルといひてサウルの叔父なるネルの子なり 14.51サウルの父キシとアブネルの父ネルはアビエルの子なり 14.52サウルの一生のあひだ恒にペリシテ人と烈しき戰ありサウルは力ある人または勇ある人を見るごとにこれをかかへたり

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15.1茲にサムエル、サウルにいひけるはヱホバ我をつかはし汝に膏を沃ぎて其民イスラエルの王となさしめたりさればヱホバの言の聲をきけ 15.2萬軍のヱホバかくいひたまふ我アマレクがイスラエルになせし事すなはちエジプトよりのぼれる時其途を遮りしをかへりみる 15.3今ゆきてアマレクを撃ち其有る物をことごとく滅しつくし彼らを憐むなかれ男女童稚哺乳兒牛羊駱駝驢馬を皆殺せ 15.4サウル民をよびあつめてこれをテライムに核ふ歩兵二十萬ユダの人一萬あり 15.5しかしてサウル、アマレクの邑にいたりて谷に兵を伏たり 15.6サウル、ケニ人にいひけるは汝らゆきてさりアマレク人をはなれくだるべし恐らくはかれらとともに汝らをほろぼすにいたらんイスラエルの子孫のエジプトよりのぼれる時汝らこれに恩みをほどこしたりと即ちケニ人アマレク人をはなれてさりぬ 15.7サウル、アマレク人をうちてハビラよりエジプトの東面なるシユルにいたる 15.8サウル、アマレク人の王アガグを生擒り刃をもて其民をことごとくほろぼせり 15.9然ども、サウルと民アガグをゆるしまた羊と牛の最も嘉きもの及び肥たる物並に羔と凡て善き物を殘して之をほろぼしつくすをこのまず但惡き弱き物をほろぼしつくせり 15.10時にヱホバの言サムエルにのぞみていはく 15.11我サウルを王となせしを悔ゆ其は彼背きて我にしたがはずわが命をおこなはざればなりとサムエル憂て終夜ヱホバによばはれり 15.12かくてサムエル、サウルにあはんとて夙く起きけるにサムエルにつぐるものありていふサウル、カルメルにいたり勝利の表を立て轉り進みてギルガルにくだれりと 15.13サムエル、サウルの許に至りければサウルこれにいひけるは汝がヱホバより福祉を得んことをねがふ我ヱホバの命を行へりと 15.14サムエルいひけるは然らばわが耳にいる此羊の聲およびわがきく牛のこゑは何ぞや 15.15サウルいひけるは人々これをアマレク人のところより引ききたれり其は民汝の神ヱホバにささげんために羊と牛の最も嘉きものをのこせばなり其ほかは我らほろぼしつくせり 15.16サムエル、サウルにいけるは止まれ昨夜ヱホバの我にかたりたまひしことを汝につげんサウルいひけるはいへ 15.17サムエルいひけるはさきに汝が微き者とみづから憶へる時に爾イスラエルの支派の長となりしに非ずや即ちヱホバ汝に膏を注いでイスラエルの王となせり 15.18ヱホバ汝を途に遣はしていひたまはく往て惡人なるアマレク人をほろぼし其盡るまで戰へよと 15.19何故に汝ヱホバの言をきかずして敵の所有物にはせかかりヱホバの目のまへに惡をなせしや 15.20サウル、サムエルにひけるは我誠にヱホバの言にしたがひてヱホバのつかはしたまふ途にゆきアマレクの王アガグを執きたりアマレクをほろぼしつくせり 15.21ただ民其ほろぼしつくすべき物の最初としてギルガルにて汝の神ヱホバにささげんとて敵の物の中より羊と牛をとれり 15.22サムエルいひけるはヱホバはその言にしたがふ事を善したまふごとく燔祭と犠牲を善したまふや夫れ順ふ事は犠牲にまさり聽く事は牡羔の脂にまさるなり 15.23其は違逆は魔術の罪のごとく抗戻は虚しき物につかふる如く偶像につかふるがごとし汝ヱホバの言を棄たるによりヱホバもまた汝をすてて王たらざらしめたまふ 15.24サウル、サムエルにいひけるに我ヱホバの命と汝の言をやぶりて罪ををかしたり是は民をおそれて其言にしたがひたるによりてなり 15.25されば今ねがはくはわがつみをゆるし我とともにかへりて我をしてヱホバを拝することをえさしめよ 15.26サムエル、サウルにいひけるは我汝とともにかへらじ汝ヱホバの言を棄たるによりヱホバ汝をすててイスラエルに王たらしめたまはざればなり 15.27サムエル去らんとて振還しときサウルその明衣の裾を捉へしかば裂たり 15.28サムエルかれにいひけるは今日ヱホバ、イスラエルの國を裂て汝よりはなし汝の隣なる汝より善きものにこれをあたへたまふ 15.29またイスラエルの能力たる者は謊らず悔ず其はかれは人にあらざればくゆることなし 15.30サウルいひけるは我罪ををかしたれどねがはくはわが民の長老のまへおよびイスラエルのまへにて我をたふとみて我とともにかへり我をして汝の神ヱホバを拝むことをえさしめよ 15.31ここにおいてサムエル、サウルにしたがひてかへるしかしてサウル、ヱホバを拝む 15.32時にサムエルいひけるは汝らわが許にアマレクの王アガグをひききたれとアガグ喜ばしげにサムエルの許にきたりアガグいひけるは死の苦みは必ず過さりぬ 15.33サムエルいひけるに汝の劍はおほくの婦人を子なき者となせりかくのごとく汝の母は婦人の中の最も子なき者となるべしとサムエル、ギルガルにてヱホバのまへにおいてアガグを斬り 15.34かくてサムエルはラマにゆきサウルはサウルのギベアにのぼりてその家にいたる 15.35サムエル其しぬる日までふたたびきたりてサウルをみざりきしかれどもサムエル、サウルのためにかなしめりまたヱホバはサウルをイスラエルの王となせしを悔たまへり

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16.1爰にヱホバ、サムエルにいひたまひけるは我すでにサウルを棄てイスラエルに王たらしめざるに汝いつまでかれのために歎くや汝の角に膏油を滿してゆけ我汝をベテレヘム人ヱサイの許につかはさん其は我其子の中にひとりの王を尋ねえたればなり 16.2サムエルいひけるは我いかで往くことをえんサウル聞て我をころさんヱホバいひたまひけるは汝一犢を携へゆきて言へヱホバに犠牲をささげんために來ると 16.3しかしてヱサイを犠牲の場によべ我汝が爲すべき事をしめさん我汝に告るところの人に膏をそそぐ可し 16.4サムエル、ヱホバの語たまひしごとくなしてベテレヘムにいたる邑の長老おそれて之をむかへいひけるは汝平康なる事のためにきたるや 16.5サムエルいひけるは平康なることのためなり我はヱホバに犠牲をささげんとてきたる汝ら身をきよめて我とともに犠牲の場にきたれと斯てヱサイと其諸子を潔めて犠牲の場によびきたる 16.6かれらが至れる時サムエル、エリアブを見ておもへらくヱホバの膏そそぐものは必ず此人ならんと 16.7しかるにヱホバ、サムエルにいひたまひけるは其容貌と身長を觀るなかれ我すでにかれをすてたりわが視るところは人に異なり人は外の貌を見ヱホバは心をみるなり 16.8ヱサイ、ヘアビナダブをよびてサムエルのまへを過しむサムエルいひけるは此人もまたヱホバ擇みたまはず 16.9ヱサイ、シヤンマを過しむサムエルいひけるは此人もまたヱホバえらみたまはず 16.10ヱサイ其七人の子をしてサムエルの前をすぎしむサムエル、ヱサイにいふヱホバ是等をえらみたまはず 16.11サムエル、ヱサイにいひけるは汝の男子は皆此にをるやヱサイいひけるは尚季子のこれり彼は羊を牧をるなりとサムエル、ヱサイにいひけるは彼を迎へきたらしめよかれが此にいたるまでは我ら食に就かざるべし 16.12是において人をつかはしてかれをつれきたらしむ其人色赤く目美しくして其貌麗しヱホバいひたまひけるは起てこれにあぶらを沃げ是其人なり 16.13サムエル膏の角をとりて其兄弟の中にてこれに膏をそそげり此日よりのちヱホバの霊ダビデにのぞむサムエルはたちてラマにゆけり 16.14かくてヱホバの霊サウルをはなれヱホバより來る惡鬼これを惱せり 16.15サウルの臣僕これにいひけるは視よ神より來れる惡鬼汝をなやます 16.16ねがはくはわれらの主汝のまへにつかふる臣僕に命じて善く琴を鼓く者一人を求めしめよ神よりきたれる惡鬼汝に臨む時彼手をもて琴を鼓て汝いゆることをえん 16.17サウル臣僕にいひけるはわがために巧に鼓琴者をたづねてわがもとにつれきたれ 16.18時に一人の少者こたへていひけるは我ベテレヘム人ヱサイの子を見しが琴に巧にしてまた豪氣して善くたたかふ辯舌さはやかなる美しき人なりかつヱホバこれとともにいます 16.19サウルすなはち使者をヱサイにつかはしていひけるは羊をかふ汝の子ダビデをわがもとに遣はせと 16.20ヱサイすなはち驢馬にパンを負せ一嚢の酒と山羊の羔を執りてこれを其子ダビデの手によりてサウルにおくれり 16.21ダビデ、サウルの許にいたりて其まへに事ふサウル大にこれを愛し其武器を執る者となす 16.22サウル人をヱサイにつかはしていひけるはねがはくはダビデをしてわが前に事へしめよ彼はわが心にかなへりと 16.23神より出たる惡鬼サウルに臨めるときダビデ琴を執り手をもてこれを弾にサウル慰さみて愈え惡鬼かれをはなる

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17.1爰にペリシテ人其軍を集めて戰はんとしユダに屬するシヨコにあつまりシヨコとアゼカの間なるバスダミムに陣をとる 17.2サウルとイスラエルの人々集まりてエラの谷に陣をとりペリシテ人にむかひて軍の陣列をたつ 17.3ペリシテ人は此方の山にたちイスラエルは彼方の山にたつ谷は其あひだにあり 17.4時にペリシテ人の陣よりガテのゴリアテと名くる挑戰者いできたる其身の長六キユビト半 17.5首に銅の盔を戴き身に鱗綴の鎧甲を着たり其よろひの銅のおもさは五千シケルなり 17.6また脛には銅の脛當を着け肩の間に銅の矛戟を負ふ 17.7其槍の柄は機の梁のごとく槍の鋒刃の鐵は六百シケルなり楯を執る者其前にゆく 17.8ゴリアテ立てイスラエルの諸行伍によばはり云けるは汝らはなんぞ陣列をなして出きたるや我はペリシテ人にして汝らはサウルの臣下にあらずや汝ら一人をえらみて我ところにくだせ 17.9其人もし我とたたかひて我をころすことをえば我ら汝らの臣僕とならんされど若し我かちてこれを殺さば汝ら我らの僕となりて我らに事ふ可し 17.10かくて此ペリシテ人いひけるは我今日イスラエルの諸行伍を挑む一人をいだして我と戰はしめよと 17.11サウルおよびイスラエルみなペリシテ人のこの言を聞き驚きて大に懼れたり 17.12抑ダビデはかのベテレヘムユダのエフラタ人ヱサイとなづくる者の子なり此人八人の子ありしがサウルの世には年邁みてすでに老たり 17.13ヱサイの長子三人ゆきてサウルにしたがひて戰爭にいづ其戰にいでし三人の子の名は長をエリアブといひ次をアビナダブといひ第三をシヤンマといふ 17.14ダビデは季子にして其兄三人はサウルにしたがへり 17.15ダビデはサウルに往來してベテレヘムにて其父の羊を牧ふ 17.16彼ペリシテ人四十日のあひだ朝夕近づきて前にたてり 17.17時にヱサイ其子ダビデにいひけるは今汝の兄のために此烘麥一斗と此十のパンを取りて陣營にをる兄のところにいそぎゆけ 17.18また此十の乾酪をとりて其千夫の長におくり兄の安否を視て其返事をもちきたれと 17.19サウルと彼等およびイスラエルの人は皆ペリシテ人とたたかひてエラの谷にありき 17.20ダビデ朝夙くおきて羊をひとりの牧者にあづけヱサイの命ぜしごとく携へゆきて車營にいたるに軍勢いでて行伍をなし鯨波をあげたり 17.21しかしてイスラエルとペリシテ人陣列をたてて行伍を行伍に相むかはせたり 17.22ダビデ其荷をおろして荷をまもる者の手にわたし行伍の中にはせゆきて兄の安否を問ふ 17.23ダビデ彼等と倶に語れる時視よペリシテ人の行伍よりガテのペリシテのゴリアテとなづくる彼の挑戰者のぼりきたり前のことばのごとく言しかばダビデ之を聞けり 17.24イスラエルの人其人を見て皆逃て之をはなれ痛く懼れたり 17.25イスラエルの人いひけるは汝らこののぼり來る人を見しや誠にイスラエルを挑んとて上りきたるなり彼をころす人は王大なる富を以てこれをとまし其女子をこれにあたへて其父の家にはイスラエルの中にて租税をまぬかれしめん 17.26ダビデ其傍にたてる人々にかたりていひけるは此ペリシテ人をころしイスラエルの耻辱を雪ぐ人には如何なることをなすや此割禮なきペリシテ人は誰なればか活る神の軍を搦む 17.27民まへのごとく答へていひけるはかれを殺す人には斯のごとくせらるべしと 17.28兄エリアブ、ダビデが人々とかたるを聞しかばエリアブ、ダビデにむかひて怒りを發しいひけるは汝なにのために此に下りしや彼の野にあるわづかの羊を誰にあづけしや我汝の傲慢と惡き心を知る其は汝戰爭を見んとて下ればなり 17.29ダビデいひけるは我今なにをなしたるや只一言にあらずやと 17.30又ふりむきて他の人にむかひ前のごとく語れるに民まへのごとく答たり 17.31人々ダビデが語れる言をききてこれをサウルのまへにつげければサウルかれを召す 17.32ダビデ、サウルにいひけるは人々かれがために氣をおとすべからず僕ゆきてかのペリシテ人とたたかはん 17.33サウル、ダビデにいひけるは汝はかのペリシテ人をむかへてたたかふに勝ず其は汝は少年なるにかれは若き時よりの戰士なればなり 17.34ダビデ、サウルにいひけるは僕さきに父の羊を牧るに獅子と熊と來りて其群の羔を取たれば 17.35其後をおひて之を搏ち羔を其口より援ひいだせりしかして其獣我に猛りかかりたれば其鬚をとらへてこれを撃ちころせり 17.36僕は旣に獅子と熊とを殺せり此割禮なきペリシテ人活る神の軍をいどみたれば亦かの獣の一のごとくなるべし 17.37ダビデまたいひけるはヱホバ我を獅子の爪と熊の爪より援ひいだしたまひたれば此ペリシテ人の手よりも援ひいだしたまはんとサウル、ダビデにいふ往けねがはくはヱホバ汝とともにいませ 17.38是においてサウルおのれの戎衣をダビデに衣せ銅の盔を其首にかむらせ亦鱗綴の鎧をこれにきせたり 17.39ダビデ戎衣のうへに劍を佩て往かんことを試む未だ驗せしことなければなりしかしてダビデ、サウルにいひけるは我いまだ驗せしことなければ是を衣ては往くあたはずと 17.40ダビデこれを脱ぎすて手に杖をとり谿間より五の光滑なる石を拾ひて之を其持てる牧羊者の具なる袋に容れ手に投石索を執りて彼ペリシテ人にちかづく 17.41ペリシテ人進みきてダビデに近づけり楯を執るもの其まへにあり 17.42ペリシテ人環視てダビデを見て之を藐視る其は少くして赤くまた美しき貌なればなり 17.43ペリシテ人ダビデにいひけるは汝杖を持てきたる我豈犬ならんやとペリシテ人其神の名をもってダビデを呪詛ふ 17.44しかしてペリシテ人ダビデにいひけるは我がもとに來れ汝の肉を空の鳥と野の獣にあたへんと 17.45ダビデ、ペリシテ人にいひけるは汝は劍と槍と矛戟をもて我にきたる然ど我は萬軍のヱホバの名すなはち汝が搦みたるイスラエルの軍の神の名をもて汝にゆく 17.46今日ヱホバ汝をわが手に付したまはんわれ汝をうちて汝の首級を取りペリシテ人の軍勢の尸體を今日空の鳥と地の野獣にあたへて全地をしてイスラエルに神あることをしらしめん 17.47且又この群衆みなヱホバは救ふに劍と槍を用ひたまはざることをしるにいたらん其は戰はヱホバによれば汝らを我らの手にわたしたまはんと 17.48ペリシテ人すなはち立あがり進みちかづきてダビデをむかへしかばダビデいそぎ陣にはせゆきてペリシテ人をむかふ 17.49ダビデ手を嚢にいれて其中より一つの石をとり投てペリシテ人の顙を撃ければ石其顙に突きいりて俯伏に地にたふれたり 17.50かくダビデ投石索と石をもてペリシテ人にかちペリシテ人をうちて之をころせり然どダビデの手には劍なかりしかば 17.51ダビデはしりてペリシテ人の上にのり其劍を取て之を鞘より抜きはなしこれをもて彼をころし其首級を斬りたり爰にペリシテの人々其勇士の死るを見てにげしかば 17.52イスラエルとユダの人おこり喊呼をあげてペリシテ人をおひガテの入口およびエクロンの門にいたるペリシテ人の負傷人シヤライムの路に仆れてガテおよびエクロンにおよぶ 17.53イスラエルの子孫ペリシテ人をおふてかへり其陣を掠む 17.54ダビデかのペリシテ人の首を取りて之をエルサレムにたづさへきたりしが其甲冑はおのれの天幕におけり 17.55サウル、ダビデがペリシテ人にむかひて出るを見て軍長アブネルにいひけるはアブネル此少者はたれの子なるやアブネルいひけるは王汝の霊魂は生くわれしらざるなり 17.56王いひけるはこの少年はたれの子なるかを尋ねよ 17.57ダビデかのペリシテ人を殺してかへれる時アブネルこれをひきて其ペリシテ人の首級を手にもてるままサウルのまへにつれゆきければ 17.58サウルかれにいひけるは若き人よ汝はたれの子なるやダビデこたへけるは汝の僕ベテレヘム人ヱサイの子なり

18
18.1ダビデ、サウルにかたることを終しときヨナタンの心ダビデの心にむすびつきてヨナタンおのれの命のごとくダビデを愛せり 18.2此日サウル、ダビデをかかへて父の家にかへらしめず 18.3ヨナタンおのれの命のごとくダビデを愛せしかばヨナタンとダビデ契約をむすべり 18.4ヨナタンおのれの衣たる明衣を脱てダビデにあたふ其戎衣および其刀も弓も帶もまたしかせり 18.5ダビデは凡てサウルが遣はすところにいでゆきて功をあらはしければサウルかれを兵隊の長となせりしかしてダビデ民の心にかなひ又サウルの僕の心にもかなふ 18.6衆人かへりきたれる時すなはちダビデ、ペリシテ人をころして還れる時婦女イスラエルの邑々よりいできたり鼗と祝歌と磬をもちて歌ひまひつつサウル王を迎ふ 18.7婦人踊躍つつ相こたへて歌ひけるはサウルは千をうち殺しダビデは萬をうちころすと 18.8サウル甚だ怒りこの言をよろこばずしていひけるは萬をダビデに歸し千をわれに歸す此上かれにあたふべき者は唯國のみと 18.9サウルこの日より後ダビデを目がけたり 18.10次の日神より出たる惡鬼サウルにのぞみてサウル家のなかにて預言したりしかばダビデ故のごとく手をもつて琴をひけり時にサウルの手に投槍ありければ 18.11サウル我ダビデを壁に刺とほさんといひて其投槍をさしあげしがダビデ二度身をかはしてサウルをさけたり 18.12ヱホバ、サウルをはなれてダビデと共にいますによりてサウル彼をおそれたり 18.13是故にサウル彼を遠ざけて千夫長となせりダビデすなはち民のまへに出入す 18.14またダビデすべて其ゆくところにて功をあらはし且ヱホバかれとともにいませり 18.15サウル、ダビデが大に功をあらはすをみてこれを恐れたり 18.16しかれどもイスラエルとユダの人はみなダビデを愛せり彼が其前に出入するによりてなり 18.17サウル、ダビデにいひけるはわれわが長女メラブを汝に妻さん汝ただわがために勇みヱホバの軍に戰ふべしと其はサウルわが手にてかれを殺さでペリシテ人の手にてころさんとおもひたればなり 18.18ダビデ、サウルにいひけるは我は誰ぞわが命はなんぞわが父の家はイスラエルにおいて何なる者ぞや我いかでか王の婿となるべけんと 18.19然るにサウルの女子メラブはダビデに嫁ぐべき時におよびてメホラ人アデリエルに妻されたり 18.20サウルの女ミカル、ダビデを愛す人これを王に告ければサウル其事を善しとせり 18.21サウルいひけるは我ミカルをかれにあたへて彼を謀る手段となしペリシテ人の手にてかれを殺さんといひてサウル、ダビデにいひけるは汝今日ふたたびわが婿となるべし 18.22かくてサウル其僕に命じけるは汝ら密にダビデにかたりて言へ視よ王汝を悦び王の僕みな汝を愛すされば汝王の婿となるべしと 18.23サウルの僕此言をダビデの耳に語りしかばダビデいひけるは王の婿となること汝らの目には易き事とみゆるや且われは貧しく賤しき者なりと 18.24サウルの僕サウルにつげてダビデ是の如くかたれりといへり 18.25サウルいひけるはなんぢらかくダビデにいへ王は聘禮を望まずただペリシテ人の陽皮一百をえて王の仇をむくいんことを望むと是はサウル、ダビデをペリシテ人の手に殞沒しめんとおもへるなり 18.26サウルの僕此言をダビデにつげしかばダビデは王の婿となることを善とせり斯て其時いまだ滿ざるあひだに 18.27ダビデ起て其從者とともにゆきペリシテ人二百人をころして其陽皮をたづさへきたり之を悉く王にささげて王の婿とならんとすサウル乃はち其女ミカルをダビデに妻せたり 18.28サウル見てヱホバのダビデとともにいますを知りぬまたサウルの女ミカルはダビデを愛せり 18.29サウルさらにますますダビデを恐れサウル一生のあひだダビデの敵となれり 18.30爰にペリシテ人の諸伯攻きたりしがダビデかれらが攻めきたるごとにサウルの諸の臣僕よりは多の功をたてしかば其名はなはだ尊まる

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19.1サウル其子ヨナタンおよび諸の臣僕にダビデをころさんとすることを語れり 19.2されどサウルの子ヨナタン深くダビデを愛せしかばヨナタン、ダビデにつげていひけるはわが父サウル汝をころさんことを求むこのゆゑに今ねがはくは汝翌朝謹恪で潜みをりて身を隱せ 19.3我いでゆきて汝がをる野にてわが父の傍にたちわが父とともに汝の事を談はんしかして我其事の如何なるを見て汝に告ぐべし 19.4ヨナタン其父サウルに向ひダビデを褒揚ていひけるは願くは王其僕ダビデにむかひて罪ををかすなかれ彼は汝に罪ををかさずまた彼が汝になす行爲ははなはだ善し 19.5またかれは生命をかけてかのペリシテ人をころしたりしかしてヱホバ、イスラエルの人々のためにおほいなる救をほどこしたまふ汝見てよろこべりしかるに何ぞゆゑなくしてダビデをころし無辜者の血をながして罪ををかさんとするや 19.6サウル、ヨナタンの言を聽いれサウル誓ひけるはヱホバはいくわれかならずかれをころさじ 19.7ヨナタン、ダビデをよびてヨナタン其事をみなダビデにつげ遂にダビデをサウルの許につれきたりければダビデさきのごとくサウルの前にをる 19.8爰に再び戰爭おこりぬダビデすなはちいでてペリシテ人とたたかひ大にかれらを殺せしかばかれら其まへを逃げされり 19.9サウル手に投槍を執て室に坐する時ヱホバより出たる惡鬼これにのりうつれり其時ダビデ乃ち手をもて琴を弾く 19.10サウル投槍をもてダビデを壁に刺とほさんとしたりしがダビデ、サウルのまへを避ければ投槍を壁に衝たてたりダビデ其夜逃さりぬ 19.11サウル使者をダビデの家につかはしてかれを守らしめ朝におよびてかれをころさしめんとすダビデの妻ミカル、ダビデにつげていひけるは若し今夜爾の命を援ずば明朝汝は殺されんと 19.12ミカル即ち牖よりダビデを縋おろしければ往て逃されり 19.13斯てミカル像をとりて其牀に置き山羊の毛の編物を其頭におき衣服をもて之をおほへり 19.14サウル、ダビデを執ふる使者をつかはしければミカルいふかれは疾ありと 19.15サウル使者をつかはしダビデを見させんとていひけるはかれを牀のまま我にたづさきたれ我これをころさん 19.16使者いりて見たるに牀には像ありて其頭に山羊の毛の編物ありき 19.17サウル、ミカルにいひけるはなんぞかく我をあざむきてわが敵を逃しやりしやミカル、サウルにこたへけるは彼我にいへり我をはなちてさらしめよ然らずば我汝をころさんと 19.18ダビデにげさりてラマにゆきサムエルの許にいたりてサウルがおのれになせしことをことごとくつげたりしかしてダビデとサムエルはゆきてナヨテにすめり 19.19サウルに告る者ありていふ視よダビデはラマのナヨテにをると 19.20サウル乃ちダビデを執ふる使者をつかはせしが彼等預言者の一群の預言しをりてサムエルが其中の長となりて立てるを見るにおよび神の霊サウルの使者にのぞみて彼等もまた預言せり 19.21人々これを告ければサウル他の使者を遣しけるにかれらも亦預言せしかばサウルまた三度使者を遣はしけるが彼等もまた預言せり 19.22是においてサウルもまたラマにゆきけるがセクの大井にいたれる時問ていひけるはサムエルとダビデは何處にをるや答ていふラマのナヨテにをる 19.23サウルかしこにゆきてラマのナヨテに至りけるに神の霊また彼にのぞみて彼ラマのナヨテにいたるまで歩きつつ預言せり 19.24彼もまた其衣服をぬぎすて同くサムエルのまへに預言し其一日一夜裸體にて仆臥たり是故に人々サウルもまた預言者のうちにあるかといふ

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20.1ダビデ、ラマのナヨテより逃きたりてヨナタンにいひけるは我何をなし何のあしき事あり汝の父のまへに何の罪を得てか彼わが命を求むる 20.2ヨナタンかれにいひけるは汝決て殺さるることあらじ視よわが父は事の大なるも小なるも我につげずしてなすことなしわが父なんぞこの事を我にかくさんやこの事しからず 20.3ダビデまた誓ひていひけるは汝の父必ずわが汝のまへに恩惠をうるを知る是をもてかれ思へらく恐らくはヨナタン悲むべければこの事をかれにしらしむべからずとしかれどもヱホバはいくまたなんぢの霊魂はいくわれは死をさること只一歩のみ 20.4ヨナタン、ダビデにいひけるはなんぢの心なにをねがふか我爾のために之をなさんと 20.5ダビデ、ヨナタンにいひけるは明日は月朔なれば我王とともに食につかざるべからず然ども我をゆるして去らしめ三日の晩まで野に隱るることをえさしめよ 20.6若汝の父まことに我をもとめなば其時言へダビデ切に其邑ベテレヘムにはせゆかんことを我に請り其は彼處に全家の歳祭あればなりと 20.7彼もし善しといはば僕やすからんされど彼もし甚しく怒らば彼の害をくはへんと決しを知れ 20.8汝ヱホバのまへに僕と契約をむすびたれば願くは僕に恩をほどこせ然ど若我に惡き事あらば汝自ら我をころせ何ぞ我を汝の父に引ゆくべけんや 20.9ヨナタンいひけるは斯る事かならず汝にあらざれ我わが父の害を汝にくはへんと決るをしらば必ず之を汝につげん 20.10ダビデ、ヨナタンにいひけるは若し汝の父荒々しく汝にこたふる時は誰か其事を我に告ぐべきや 20.11ヨナタン、ダビデにいひけるは來れ我ら野にいでゆかんと倶に野にいでゆけり 20.12しかしてヨナタン、ダビデにいひけるはイスラエルの神ヱホバよ明日か明後日の今ごろ我わが父を窺ひて事のダビデのために善きを見ながら人を汝に遣はして告しらさずばヱホバ、ヨナタンに斯なしまた重て斯くなしたまへ 20.13されど若しわが父汝に害をくはへんと欲せば我これを告げしらせて汝をにがし汝を安らかにさらしめん願くはヱホバわが父とともに坐せしごとく汝とともにいませ 20.14汝只わが生るあひだヱホバの恩を我にしめして死ざらしむるのみならず 20.15ヱホバがダビデの敵を悉く地の表より絶ちさりたまふ時にもまた汝わが家を永く汝の恩にはなれしむるなかれ 20.16かくヨナタン、ダビデの家と契約をむすぶヱホバ之に關てダビデの敵を討したまへり 20.17しかしてヨナタンふたたびダビデに誓はしむかれを愛すればなり即ちおのれの生命を愛するごとく彼を愛せり 20.18またヨナタン、ダビデにいひけるは明日は月朔なるが汝の座空かるべければ汝求めらるべし 20.19汝三日とどまりて速かに下り嘗てかの事の日に隱れたるところに至りてエゼルの石の傍に居るべし 20.20我的を射るごとくして其石の側に三本の矢をはなたん 20.21しかしてゆきて矢をたづねよといひて僮子をつかはすべし我もし故に僮子に視よ矢は汝の此旁にあり其を取と曰ばなんぢきたるべしヱホバは生く汝安くして何もなかるべければなり 20.22されど若し我少年に視よ矢は汝の彼旁にありといはば汝さるべしヱホバ汝をさらしめたまふなり 20.23汝と我とかたれることについては願はくはヱホバ恒に汝と我との間にいませと 20.24ダビデ即ち野にかくれぬ偖月朔になりければ王坐して食に就く 20.25即ち王は常のごとく壁によりて座を占むヨナタン立あがりアブネル、サウルの側に坐すダビデの座はなむし 20.26されど其日にはサウル何をも曰ざりき其は何事か彼におこりしならん彼きよからず定て潔からずと思ひたればなり 20.27明日すなはち月の二日におよびてダビデの座なほ虚しサウル其子ヨナタンにいひけるは何ゆゑにヱサイの子は昨日も今日も食に來らざるや 20.28ヨナタン、サウルにこたへけるはダビデ切にベテレヘムにゆかんことを我にこひて曰けるは 20.29ねがはくは我をゆるしてゆかしめよわが家邑にて祭をなすによりわが兄我にきたることを命ぜり故に我もし汝のまへにめぐみをえたるならばねがはくは我をゆるして去しめ兄弟をみることを得さしめよと是故にかれは王の席に來らざるなり 20.30サウル、ヨナタンにむかひて怒りを發しかれにいひけるは汝は曲り且悖れる婦の子なり我あに汝がヱサイの子を簡みて汝の身をはづかしめまた汝の母の膚を辱しむることを知ざらんや 20.31ヱサイの子の此世にながらふるあひだは汝と汝の位固くたつを得ず是故に今人をつかはして彼をわが許に引きたれ彼は死ぬべき者なり 20.32ヨナタン父サウルに對へていひけるは彼なにによりて殺さるべきか何をなしたるやと 20.33ここにおいてサウル、ヨナタンを撃んとて投槍をさしあげたりヨナタンすなはち其父のダビデを殺さんと決しをしれり 20.34かくてヨナタン烈しく怒りて席を立ち月の二日には食をなさざりき其は其父のダビデをはづかしめしによりてダビデのために憂へたればなり 20.35翌朝ヨナタン一小童子を從がヘダビデと約せし時刻に野にいでゆき 20.36童にいひけるは走りて我はなつ矢をたづねよと童子はしる時ヨナタン矢を彼のさきに發てり 20.37童子がヨナタンの發ちたる矢のところにいたれる時ヨナタン童子のうしろに呼はりていふ矢は汝のさきにあるにあらずや 20.38ヨナタンまた童子のうしろによばはりていひけるは速かにせよ急げ止まるなかれとヨナタンの童子矢をひろひあつめて其主人のもとにかへる 20.39されど童子は何をも知ざりき只ヨナタンとダビデ其事をしりたるのみ 20.40かくてヨナタン其武器を童子に授ていひけるは往けこれを邑に携へよと 20.41童子すなはち往けり時にダビデ石の傍より立ちあがり地にふして三たび拝せりしかしてふたり互に接吻してたがひに哭くダビデ殊にはなはだし 20.42ヨナタン、ダビデにいひけるは安じて往け我ら二人ともにヱホバの名に誓ひて願くはヱホバ恒に我と汝のあひだに坐し我が子孫と汝の子孫のあひだにいませといへりとダビデすなはちたちて去るヨナタン邑にいりぬ

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21.1ダビデ、ノブにゆきて祭司アヒメレクにいたるアヒメレク懼れてダビデを迎へこれにいひけるは汝なんぞ獨にして誰も汝とともならざるや 21.2ダビデ祭司アヒメレクにいふ王我に一の事を命じて我にいふ我が汝を遣はすところの事およびわが汝に命じたる所については何をも人にしらするなかれと我某處に我少者を出おけり 21.3いま何か汝の手にあるや我手に五のパンか或はなににてもある所を與よ 21.4祭司ダビデに對ていひけるは常のパンはわが手になしされど若し少者婦女をだに愼みてありしならば聖きパンあるなりと 21.5ダビデ祭司に對へていひけるは實にわがいでしより此三日は婦女われらにちかづかず且少者等の器は潔し又パンは常の物のごとし今日器に潔きパンあれば殊に然と 21.6祭司かれに聖きパンを與たり其はかしこに供前のパンの外はパン无りければなり即ち其パンは下る日に熱きパンをささげんとて之をヱホバのまへより取されるなり 21.7其日かしこにサウルの僕一人留められてヱホバのまへにあり其名をドエグといふエドミ人にしてサウルの牧者の長なり 21.8ダビデまたアヒメレクにいふ此に汝の手に槍か劍あらぬか王の事急なるによりて我は刀も武器も携へざりしと 21.9祭司いひけるは汝がエラの谷にて殺したるペリシテ人ゴリアテの劍布に裏みてエポデの後にあり汝もし之をとらんとおもはば取れ此にはほかの劍なしダビデいひけるはそれにまさるものなし我にあたへよと 21.10ダビデ其日サウルをおそれて立てガテの王アキシのところに逃げゆきぬ 21.11アキシの臣僕アキシに曰けるは此は其地の王ダビデにあらずや人々舞踏のうちにこの人のことを歌ひあひてサウルは千をうちころしダビデは萬をうちころすといひしにあらずや 21.12ダビデこの言を心に蔵め深くガテの王アキシをおそれ 21.13人々のまへに佯て其氣を變じ執はれて狂人のさまをなし門の扉に書き其涎沫を鬚にながれくだらしむ 21.14アキシ僕に云けるは汝らの見るごとく此人は狂人なり何ぞかれを我にひき來るや 21.15我なんぞ狂人を須ひんや汝ら此者を引きたりてわがまへに狂しめんとするや此者なんぞ吾が家にいるべけんや

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22.1是故にダビデ其處をいでたちてアドラムの洞穴にのがる其兄弟および父の家みな聞きおよびて彼處にくだり彼の許に至る 22.2また惱める人負債者心に嫌ぬ者皆かれの許にあつまりて彼其長となれりかれとともにある者はおよそ四百人なり 22.3ダビデ其處よりモアブのミヅパにいたりモアブの王にいひけるは神の我をいかがなしたまふかを知るまでねがはくはわが父母をして出て汝らとともにをらしめよと 22.4遂にかれらをモアブの王のまへにつれきたるかれらはダビデが要害にをる間王とともにありき 22.5預言者ガデ、ダビデに云けるは要害に住るなかれゆきてユダの地にいたれとダビデゆきてハレテの叢林にいたる 22.6爰にサウル、ダビデおよびかれとともなる人々の見露されしを聞けり時にサウルはギベアにあり手に槍を執て岡巒の柳の樹の下にをり臣僕ども皆其傍にたてり 22.7サウル側にたてる僕にいひけるは汝らベニヤミン人聞けよヱサイの子汝らおのおのに田と葡萄園をあたへ汝らおのおのを千夫長百夫長となすことあらんや 22.8汝ら皆我に敵して謀り一人もわが子のヱサイの子と契約を結びしを我につげしらする者なしまた汝ら一人もわがために憂へずわが子が今日のごとくわが僕をはげまして道に伏て我をおそはしめんとするを我につげしらす者なし 22.9時にエドミ人ドエグ、サウルの僕の中にたち居りしが答へていひけるは我ヱサイの子のノブにゆきてアヒトブの子アヒメレクに至るを見しが 22.10アヒメレクかれのためにヱホバに問ひまたかれに食物をあたへペリシテ人ゴリアテの劍をあたへたりと 22.11王すなはち人をつかはしてアヒトブの子祭司アヒメレクなよびその父の家すなはちノブの祭司たる人々を召したればみな王の許にきたる 22.12サウルいひけるは汝アヒトブの子聽よ答へけるは主よ我ここにあり 22.13サウルかれにいふ汝なんぞヱサイの子とともに我に敵して謀り汝かれにパンと劍をあたへ彼が爲に神に問ひかれをして今日のごとく道に伏て我をおそはしめんとするや 22.14アヒメレク王にこたへていひけるは汝の臣僕のうち誰かダビデのごとく忠義なる彼は王の婿にして親しく汝に見ゆるもの汝の家に尊まるる者にあらずや 22.15我其時かれのために神に問ことを始めしや決てしからずねがはくは王僕およびわが父の全家に何をも歸するなかれ其は僕この事については多少をいはず何をもしらざればなり 22.16王いひけるはアヒメレク汝必ず死ぬべし汝の父の全家もしかりと 22.17王旁にたてる前驅の人々にいひけるは身をひるがへしてヱホバの祭司を殺せかれらもダビデと力を合するが故またかれらダビデの逃たるをしりて我に告ざりし故なりと然ど王の僕手をいだしてヱホバの祭司を撃ことを好まざれば 22.18王ドエグにいふ汝身をひるがへして祭司をころせとエドミ人ドエグ乃ち身をひるがへして祭司をうち其日布のエポデを衣たる者八十五人をころせり 22.19かれまた刃を以て祭司の邑ノブを撃ち刃をもて男女童稚嬰孩牛驢馬羊を殺せり 22.20アヒトブの子アヒメレクの一人の子アビヤタルとなづくる者逃れてダビデにはしり從がふ 22.21アビヤタル、サウルがヱホバの祭司を殺したることをダビデに告しかば 22.22ダビデ、アビヤタルにいふかの日エドミ人ドエグ彼處にをりしかば我かれが必らずサウルにつげんことを知れり我汝の父の家の人々の生命を喪へる源由となれり 22.23汝我とともに居れ懼るるなかれわが生命を求むる者汝の生命をも求むるなり汝我とともにあらば安全なるべし

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23.1人々ダビデにつげていひけるは視よペリシテ人ケイラを攻め穀場を掠むと 23.2ダビデ、ヱホバに問ていひけるは我ゆきて是のペリシテ人を撃つべきかとヱホバ、ダビデにいひたまひけるは往てペリシテ人をうちてケイラを救ヘ 23.3ダビデの從者かれにいひけるは視よわれら此にユダにあるすら尚ほおそる况やケイラにゆきてペリシテ人の軍にあたるをやと 23.4ダビデふたたびヱホバに問ひけるにヱホバ答ていひたまひけるは起てケイラにくだれ我ペリシテ人を汝の手にわたすべし 23.5ダビデとその從者ケイラにゆきてペリシテ人とたたかひ彼らの家畜を奪ひとり大にかれらをうちころせりかくダビデ、ケイラの居民をすくふ 23.6アヒメレクの子アビヤタル、ケイラにのがれてダビデにいたれる時其手にエポデを執てくだれり 23.7爰にダビデのケイラに至れる事サウルに聞えければサウルいふ神かれを我手にわたしたまへり其はかれ門あり關ある邑にいりたれば閉こめらるればなり 23.8サウルすなはち民をことごとく軍によびあつめてケイラにくだりてダビデと其從者を圍んとす 23.9ダビデはサウルのおのれを害せんと謀るを知りて祭司アビヤタルにいひけるはエポデを持ちきたれと 23.10しかしてダビデいひけるはイスラエルの神ヱホバよ僕たしかにサウルがケイラにきたりてわがために此邑をほろぼさんと求むるを聞り 23.11ケイラの人々我をかれの手にわたすならんか僕のきけるごとくサウル下るならんかイスラエルの神ヱホバよ請ふ僕につげたまへとヱホバいひたまひけるは彼下るべしと 23.12ダビデいひけるはケイラの人々われとわが從者をサウルの手にわたすならんかヱホバいひたまひけるは彼らわたすべし 23.13是においてダビデと其六百人ばかりの從者起てケイラをいで其ゆきうる所にゆけりダビデのケイラをにげはなれしことサウルに聞えければサウルいづることを止たり 23.14ダビデは曠野にをり要害の地にをりまたジフの野にある山に居るサウル恒にかれを尋ねたれども神かれを其手にわたしたまはざりき 23.15ダビデ、サウルがおのれの生命を求めんために出たるを見る時にダビデはジフの野の叢林にをりしが 23.16サウルの子ヨナタンたちて叢林にいりてダビデにいたり神によりて其力を強うせしめたり 23.17即ちヨナタンかれにいひけるに懼るるなかれわが父サウルの手汝にとどくことあらじ汝はイスラエルの王とならん我は汝の次なるべし此事はわが父サウルもしれりと 23.18かくて彼ら二人ヱホバのまへに契約をむすびダビデは叢林にとどまりヨナタンは其家にかへれり 23.19時にジフ人ギベアにのぼりサウルの許にいたりていひけるはダビデは曠野の南にあるハキラの山の叢林の中なる要害に隱れて我らとともにをるにあらずや 23.20今王汝のくだらんとする望のごとく下りたまへ我らはかれを王の手にわたさんと 23.21サウルいひけるは汝ら我をあはれめば願くは汝等ヱホバより福祉をえよ 23.22請ふゆきて尚ほ心を用ひ彼の踪跡ある處と誰がかれを見たるかを見きはめよ其は人我にかれが甚だ機巧く事を爲すを告たれば也 23.23されば汝ら彼が隱るる逃躱處を皆たしかに見きはめて再び我にきたれ我汝らとともにゆかん彼もし其地にあらば我ユダの郡中をあまねく尋ねて彼を獲んと 23.24かれらたちてサウルに先てジフにゆけりダビデと其從者は曠野の南のアラバにあるマオンの野にをる 23.25斯てサウルと其從者ゆきて彼を尋ぬ人々これをダビデに告ければダビデ巌を下てマオンの野にをるサウル之を聞てマオンの野に至てダビデを追ふ 23.26サウルは山の此旁に行ダビデと其從者は山の彼旁に行ダビデは周章てサウルの前を避んとしサウルと其從者はダビデと其從者を圍んで之を取んとす 23.27時に使者サウルに來て言けるはペリシテ人國ををかす急ぎきたりたまへと 23.28故にサウル、ダビデを追ことを止てかへり往てペリシテ人にあたるここをもて人々その處をセラマレコテ(逃岩)となづく 23.29ダビデ其處よりのぼりてエンゲデの要害にをる

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24.1サウル、ペリシテ人を追ふことをやめて還りし時人々かれにつげていひけるは視よダビデはエンゲデの野にありと 24.2サウル、イスラエルの中より選みたる三千の人を率ゐゆきて野羊の巌にダビデと其從者を尋ぬ 24.3途にて羊の棧にいたるに其處に洞穴ありサウル其足を掩んとていりぬ時にダビデと其從者洞の隅に居たり 24.4ダビデの從者これにいひけるはヱホバが汝に告て視よ我汝の敵を汝の手にわたし汝をして善と見るところを彼になさしめんといひたまひし日は今なりとダビデすなはち起てひそかにサウルの衣の裾をきれり 24.5ダビデ、サウルの衣の裾をきりしによりて後ち其心みづから責む 24.6ダビデ其從者にいひけるはヱホバの膏そそぎし者なるわが主にわが此事をなすをヱホバ禁じたまふかれはヱホバの膏そそぎし者なればかれに敵してわが手をのぶるは善らず 24.7ダビデ此ことばをもって其從者を止めサウルに撃ちかかる事を容さずサウルたちて洞を出て其道にゆく 24.8ダビデもまた後よりたちて洞をいでサウルのうしろに呼はりて我主王よといふサウル後をかへりみる時ダビデ地にふして拝す 24.9ダビデ、サウルにいひけるは汝なんぞダビデ汝を害せん事を求むといふ人の言を聽くや 24.10視よ今日汝の目ヱホバの汝を洞のうちにて今日わが手にわたしたまひしことを見たり人々我に汝をころさんことを勸めたれども我汝を惜めり我いひけらくわが主はヱホバの膏そそぎし者なればこれに敵してわが手をのぶべからずと 24.11わが父よ視よわが手にある汝の衣の裾を見よわが汝の衣の裾をきりて汝を殺さざるを見ばわが手には惡も罪過もなきことを汝見て知るべし我汝に罪ををかせしことなし然るに汝わが生命をとらんとねらふ 24.12ヱホバ我と汝の間を審きたまはんヱホバわがために汝に報いたまふべし然どわが手は汝に加へざるべし 24.13古への諺にいふごとく惡は惡人よりいづされどわが手は汝にくはへざるべし 24.14イスラエルの王は誰を趕んとて出たるや汝たれを追ふや死たる犬をおひ一の蚤をおふなり 24.15ねがはくはヱホバ審判者となりて我と汝のあひだをさばきかつ見てわが訟を理し我を汝の手よりすくひいだしたまはんことを 24.16ダビデこれらの言をサウルに語りをへしときサウルいひけるはわが子ダビデよ是は汝の聲なるかとサウル聲をあげて哭きぬ 24.17しかしてダビデにいひけるは汝は我よりも正し我は汝に惡をむくゆるに汝は我に善をむくゆ 24.18汝今日いかに汝が我に善くなすかを明かにせりヱホバ我を爾の手にわたしたまひしに爾我をころさざりしなり 24.19人もし其敵にあはばこれを安らかに去しむべけんや爾が今日我になしたる事のためにヱホバ爾に善をむくいたまふべし 24.20視よ我爾が必ず王とならんことを知りまたイスラエルの王國の爾の手によりて堅くたたんことをしる 24.21今爾ヱホバをさして我にわが後にてわが子孫を斷ずわが名をわが父の家に滅せざらんことを誓へと 24.22ダビデすなはちサウルにちかふ是においてサウルは家にかへりダビデと其從者は要害にのぼれり

25
25.1爰にサムエル死にしかばイスラエル人皆あつまりて之をかなしみラマにあるその家にてこれを葬むれりダビデたちてバランの野にくだる 25.2マオンに一箇の人あり其所有はカルメルにあり其人甚だ大なる者にして三千の羊と一千の山羊をもちしがカルメルにて羊の毛を剪り居たり 25.3其人の名はナバルといひ其妻の名はアビガルといふアビガルは賢く顔美き婦なりされど其夫は剛愎にして其爲すところ惡かりきかれはカレブの人なり 25.4ダビデ野にありてナバルが其羊の毛を剪りをるを聞き 25.5ダビデ十人の少者を遣はすダビデ其少者にいひけるはカルメルにのぼりナバルにいたりわが名をもてかれに安否をとひ 25.6かくのごとくいへ願くは壽ながかれ爾平安なれ爾の家やすらかなれ爾が有ところの物みなやすらかなれ 25.7我爾が羊毛を剪せをるを聞り爾の牧羊者は我らとともにありしが我らこれを害せざりきまたかれらがカルメルにありしあひだかれらの物何も失たることなし 25.8爾の少者に問へかれら爾につげん願くは少者をして爾のまへに恩をえせしめよ我ら吉日に來る請ふ爾の手にあるところの物を爾の僕らおよび爾の子ダビデにあたへよ 25.9ダビデの少者いたりダビデの名をもって是らのことばの如くナバルに語りてやめり 25.10ナバル、ダビデの僕にこたへていひけるはダビデは誰なるヱサイの子は誰なる此頃は主人をすてて遁逃るる僕おほし 25.11我あにわがパンと水およびわが羊毛をきる者のために殺したる肉をとりて何處よりか知れざるところの人々にあたふべけんや 25.12ダビデの少者ふりかへりて其道に就き歸りきたりて此等の言のごとくダビデに告ぐ 25.13是においてダビデ其從者に爾らおのおの劍を帶よと言ければ各劍をおぶダビデもまた劍をおぶ而して四百人ばかりダビデにしたがひて上り二百人は輜重のところに止れり 25.14時にひとりの少者ナバルの妻アビガルに告ていひけるは視よダビデ野より使者をおくりて我らの主人を祝したるに主人かれらを詈れり 25.15されどかの人々はわれらに甚だ善くなし我らは害をかうむらず亦われら野にありし時かれらとともにをるあひだはなにをも失なはざりき 25.16我らが羊をかひて彼らとともにありしあひだ彼らは日夜われらの墻となれり 25.17されば爾今しりてなにをなさんかを考ふべし其はわれらの主人および主人の全家に定めて害きたるべければなり主人は邪魔なる者にして語ることをえずと 25.18アビガルいそぎパン二百酒の革嚢二旣に調へたる羊五烘麥五セア乾葡萄百球乾無花果の團塊二百を取て驢馬にのせ 25.19其少者にいひけるは我先に進め視よ我爾らの後にゆくと然ど其夫ナバルには告げざりき 25.20アビガル驢馬にのりて山の僻處にくだれる時視よダビデと其從者かれにむかひてくだりければかれ其人々にあふ 25.21ダビデかつていひけるは誠にわれ徒に此人の野にて有る物をみなまもりてその物をして何もうせざらしめたりかれは惡をもてわが善にむくゆ 25.22ねがはくは神ダビデの敵にかくなしまた重ねてかくなしたまへ明晨までに我はナバルに屬する總ての物の中ひとりの男をものこさざるべし 25.23アビガル、ダビデを視しとき急ぎ驢馬よりおりダビデのまへに地に俯して拝し 25.24其足もとにふしていひけるはわが主よ此咎を我に歸したまへ但し婢をして爾の耳にいふことを得さしめ婢のことばを聽たまへ 25.25ねがはくは我主この邪なる人ナバル(愚)の事を意に介むなかれ其はかれは其名の如くなればなりかれの名はナバルにしてかれは愚なりわれなんぢの婢はわが主のつかはせし少ものを見ざりき 25.26さればわがしゆよヱホバはいくまたなんぢのたましひはいくヱホバなんぢのきたりて血をながしまた爾がみづから仇をむくゆるを阻めたまへりねがはくは爾の敵たるものおよびわが主に害をくはへんとする者はナバルのごとくなれ 25.27さて仕女がわが主にもちきたりしこの禮物をねがはくはわが主の足迹にあゆむ少者にたてまつらしめたまへ 25.28請ふ婢の過をゆるしたまへヱホバ必ずわが主のために堅き家を立たまはん是はわが主ヱホバの軍に戰ふにより又世にいでてよりこのかた爾の身に惡きこと見えざるによりてなり 25.29人たちて爾を追ひ爾の生命を求むれどもわが主の生命は爾の神ヱホバとともに生命の包裏の中に包みあり爾の敵の生命は投石器のうちより投すつる如くヱホバこれをなげすてたまはん 25.30ヱホバその爾につきて語りたまひし諸の善き事をわが主になして爾をイスラエルの主宰に命じたまはん時にいたりて 25.31爾の故なくして血をながしたることも又わが主のみづから其仇をむくいし事も爾の憂となることなくまたわが主の心の責となることなかるべし但しヱホバのわが主に善くなしたまふ時にいたらばねがはくは婢を憶たまへ 25.32ダビデ、アビガルにいふ今日汝をつかはして我をむかへしめたまふイスラエルの神ヱホバは頌美べきかな 25.33また汝の智慧はほむべきかな又汝はほむべきかな汝今日わがきたりて血をながし自ら仇をむくゆるを止めたり 25.34わが汝を害するを阻めたまひしイスラエルの神ヱホバは生く誠にもし汝いそぎて我を來り迎ずば必ず翌朝までにナバルの所にひとりの男ものこらざりしならんと 25.35ダビデ、アビガルの携へきたりし物を其手より受てかれにいひけるは安かに汝の家にかへりのぼれ視よわれ汝の言をききいれて汝の顔を立たり 25.36かくてアビガル、ナバルにいたりて視にかれは家に酒宴を設け居たり王の酒宴のごとしナバルの心これがために樂みて甚だしく酔たればアビガル多少をいはず何をも翌朝までかれにつげざりき 25.37朝にいたりナバルの酒のさめたる時妻かれに是等の事をつげたるに彼の心そのうちに死て其身石のごとくなりぬ 25.38十日ばかりありてヱホバ、ナバルを撃ちたまひければ死り 25.39ダビデ、ナバルの死たるを聞ていひけるはヱホバは頌美べきかなヱホバわが蒙むりたる恥辱の訟を理してナバルにむくい僕を阻めて惡をおこなはざらしめたまふ其はヱホバ、ナバルの惡を其首に歸し賜へばなりと爰にダビデ、アビガルを妻にめとらんとて人を遣はしてこれとかたらはしむ 25.40ダビデの僕カルメルにをるアビガルの許にいたりてこれにかたりいひけるはダビデ汝を妻にめとらんとて我らを汝に遣はすと 25.41アビガルたちて地にふして拝しいひけるは視よ婢はわが主の僕等の足を洗ふ仕女なりと 25.42アビガルいそぎたちて驢馬に乗り五人の侍女とともにダビデの使者にしたがひゆきてダビデの妻となる 25.43ダビデまたヱズレルのアヒノアムを娶れり彼ら二人ダビデの妻となる 25.44但しサウルはダビデの妻なりし其女ミカルをガリムの人なるライシの子パルテにあたへたり

26
26.1ジフ人ギベアにきたりサウルの許にいたりてひけるはダビデは曠野のまへなるハキラの山にかくれをるにあらずやと 26.2サウルすなはち起ちジフの野にダビデを尋ねんとイスラエルの中より選みたる三千の人をしたがへてジフの野にくだる 26.3サウルは曠野のまへなるハキラの山において路のほとりに陣を取るダビデは曠野に居てサウルのおのれをおふて曠野にきたるをさとりければ 26.4ダビデ斥候を出してサウルの誠に來しをしれり 26.5ここにおいてダビデたちてサウルの陣をとれるところにいたりサウルおよび其軍の長ネルの子アブネルの寝たるところを見たりすなはちサウルは車營の中に寝ぬ民其まはりに陣をはれり 26.6ダビデ答へてヘテ人アヒメレクおよびゼルヤの子にしてヨアブの兄弟なるアビシヤイにいひけるは誰か我とともにサウルの陣にくだらんかとアビシヤイいふ我汝とともに下らん 26.7ダビデとアビシヤイすなはち夜にいりて民の所にいたるに視よサウルは車營のうちに寝臥し其槍地にさして枕邊にありアブネルと民は其まはりに寝たり 26.8アビシヤイ、ダビデにいひけるは神今日爾の敵を爾の手にわたしたまふ請ふいま我に槍をもてかれを一度地にさしとほさしめよ再びするにおよばじ 26.9ダビデ、アビシヤイにいふ彼をころすなかれ誰かヱホバの膏そそぎし者に敵して其手をのべて罪なからんや 26.10ダビデまたいひけるはヱホバは生くヱホバかれを撃たまはんあるひはその死ぬる日來らんあるひは戰ひにくだりて死うせん 26.11わがヱホバのあぶらそそぎしものに敵して手をのぶることはきはめて善らずヱホバ禁じたまふされどいま請ふ爾そのまくらもとの槍と水の瓶をとれしかして我らさりゆかんと 26.12ダビデ、サウルの枕邊より槍と水の瓶を取りてかれらさりゆきしが誰も見ず誰もしらず誰も目を醒さざりき其はかれら皆眠り居たればなり即ちヱホバかれらをふかく睡らしめたまふ 26.13かくてダビデは彼旁にわたりて遥に山の頂にたてり彼と此とのへだたり大なり 26.14ダビデ民とネルの子アブネルによばはりいひけるはアブネルよ爾こたへざるかアブネルこたへていふ王をよぶ爾はたれなるや 26.15ダビデ、アブネルにいひけるは爾は勇士ならずやイスラエルの中にて誰か爾に如ものあらんしかるに爾なんぞ爾の主なる王をまもらざるや民のひとり爾の主なる王を殺さんとていりぬ 26.16爾がなせる此事よからずヱホバは生くなんぢらの罪死にあたれり爾らヱホバの膏そそぎし爾らの主をまもらざればなり今王の槍と王の枕邊にありし水の瓶はいづくにあるかを見よ 26.17サウル、ダビデの聲をしりていひけるはわが子ダビデよ是は爾の聲なるかダビデいひけるは王わが主よわが聲なり 26.18ダビデまたいひけるはわが主なにゆゑに斯くその僕をおふや我なにをなせしや何の惡き事わが手にあるや 26.19王わが主よ請ふいま僕の言を聽きたまへ若しヱホバ爾を我に敵せしめたまふならばねがはくはヱホバ禮物をうけたまへされど若し人ならばねがはくは其人々ヱホバのまへにのろはれよ其は彼等爾ゆきて他の神につかへよといひて今日我を追ひヱホバの產業に連なることをえざらしむるが故なり 26.20ねがはくは我血をしてヱホバのまへをはなれて地におちしむるなかれそは人の山にて鷓鴣をおふがごとくイスラエルの王一の蚤をたづねにいでたればなり 26.21サウルいひけるは我罪ををかせりわが子ダビデよ歸れわが生命今日爾の目に寶と見なされたる故により我々かさねて爾に害を加へざるべし嗚呼われ愚なることをなして甚だしく過てり 26.22ダビデこたへていひけるは王よ槍を視よ請ひとりの少者をしてわたりてこれを取しめよ 26.23ねがはくはヱホバおのおのに其義と眞實とにしたがひて報いたまへ共はヱホバ今日爾をわが手にわたしたまひしに我ヱホバの受膏者に敵してわが手をのぶることをせざればなり 26.24爾の生命を今日わがおもんぜしごとくねがはくはヱホバわが生命をおもんじて諸の艱難のうちより我をすくひいだしたまへ 26.25サウル、ダビデにいひけるはわが子ダビデよ爾はほむべきかな爾大なる事を爲さん亦かならず勝をえんとしかしてダビデは其道にさりサウルはおのれの所にかへれり

27
27.1ダビデ心の中にいひけるは是のごとくば我早晩サウルの手にほろびん速にペリシテ人の地にのがるるにまさることあらず然らばサウルかさねて我をイスラエルの四方の境にたづぬることをやめて我かれの手をのがれんと 27.2ダビデたちておのれとともな六百人のものとともにわたりてガテの王マオクの子アキシにいたる 27.3ダビデと其從者ガテにてアキシとともに住ておのおの其家族とともにをるダビデはその二人の妻すなはちヱズレル人アヒノアムとカルメル人ナバルの妻なりしアビガルとともにあり 27.4ダビデのガテににげしことサウルにきこえければサウルかさねてかれをたづねざりき 27.5ここにダビデ、アキシにいひけるは我もし爾のまへに恩を得たるならばねがはくは郷里にある邑のうちにて一のところを我にあたへて其處にすむことを得さしめよ僕なんぞ爾とともに王城にすむべけんやと 27.6アキシ其日チクラグをかれにあたへたり是故にヂクラグは今日にいたるまでユダの王に屬す 27.7タビデのペリシテ人の國にをりし日數は一年と四箇月なりき 27.8ダビデ其從者と共にのぼりゲシユル人ゲゼリ人アマレク人を襲ふたり昔より是等はシユルにいたる地にすみてエジプトの地にまでおよべり 27.9ダビデ其地をうちて男をも女をも生し存さず羊と牛と駱駝と衣服をとりて還りてアキシに至る 27.10アキシいひけるは爾ら今日何地を襲ひしやダビデいひけるはユダの南とヱラメルの南とケニ人の南ををかせりと 27.11ダビデ男も女も生存らしめずして一人をもガテにひきゆかざりき其はダビデ恐くは彼らダビデかくなせりといひて我儕の事を告んといひたればなりダビデ、ペリシテ人の地にすめるあひだは其なすところ常にかくのごとくなりき 27.12アキシ、ダビデを信じていひけるは彼は其民イスラエルをして全くおのれを惡ましむされば永くわが僕となるべし

28
28.1其頃ペリシテ人イスラエルと戰はんとて軍のために軍勢を集めたればアキシ、ダビデにいひけるは爾明かにこれをしれ爾と爾の從者我とともに出て軍にくははるべし 28.2ダビデ、アキシにいひけるはされば爾僕のなさんところをしるべしとアキシ、ダビデにさらば我爾を永く我身をまもる者となさんといへり 28.3サムエルすでに死たればイスラエルみなこれをかなしみてこれをそのまちラマにはうむれりまたサウルは口寄者と卜筮師を其地よりおひいだせり 28.4ペリシテ人あつまりきたりてシユネムに陣をとりければサウル、イスラエルを悉くあつめてギルボアに陣をとれり 28.5サウル、ペリシテ人の軍を見しときおそれて其心大にふるへたり 28.6サウル、ヱホバに問ひけるにヱホバ對たまはず夢に因てもウリムによりても預言者によりてもこたへたまはず 28.7サウル僕等にいひけるは口寄の婦を求めよわれそのところにゆきてこれに尋ねんと僕等かれにいひけるは視よエンドルに口寄の婦あり 28.8サウル形を變へて他の衣服を著二人の人をともなひてゆき彼等夜の間に其婦の所にいたるサウルいひけるは請ふわがために口寄の術をおこなひてわが爾に言ふ人をわれに呼おこせ 28.9婦かれにいひけるはなんぢサウルのなしたる事すなはち如何にかれが口寄者と卜筮師を國より斷さりたるを知る爾なんぞ我を死しめんとてわが生命を亡す謀計をなすや 28.10サウル、ヱホバを指てかれに誓ひいひけるはヱホバは生く此事のためになんぢ罪にあふことあらじ 28.11婦いひけるは誰を我なんぢに呼起すべきかサウルいふサムエルをよびおこせ 28.12婦サムエルを見て大なる聲にてさけびいだせりしかして婦サウルにいひけるは爾なにゆゑに我を欺きしや爾はすなはちサウルなり 28.13王かれにいひけるは恐るるなかれ爾なにを見しや婦サウルにいひけるは我神の地よりのぼるを見たり 28.14サウルかれにいひけるは其形容は如何彼いひけるは一人の老翁のぼる其人明衣を衣たりサウル其人のサムエルなるをしりて地にふして拝せり 28.15サムエル、サウルにいひけるは爾なんぞ我をよびおこして我をわづらはすやサウルこたへけるは我いたく惱むペリシテ人我にむかひて軍をおこし又神我をはなれて預言者によりても又夢によりてもふたたび我にこたへたまはずこのゆゑに我なすべき事を爾にまなばんとて爾を呼り 28.16サムエルいひけるはヱホバ爾をはなれて爾の敵となりたまふに爾なんぞ我にとふや 28.17ヱホバわれをもて語りたまひしことをみづから行ひてヱホバ國を爾の手より割きはなち爾の隣人ダビデにあたへたまふ 28.18爾ヱホバの言にしたがはず其烈しき怒をアマレクにもらさざりしによりてヱホバ此事を今日爾になしたまふ 28.19ヱホバ、イスラエルをも爾とともにペリシテ人の手にわたしたまふべし明日爾と爾の子等我とともなるべしまたイスラエルの陣營をもヱホバ、ペリシテ人の手にわたしたまはんと 28.20サウル直ちに地に伸びたふれサムエルの言のために痛くおそれ又其力を失へり其はかれ其一日一夜物食ざりければなり 28.21かの婦サウルにいたり其痛く慄くを見てこれにいひけるは視よ仕女爾の言をききわが生命をかけて爾が我にいひし言にしたがへり 28.22されば請ふ爾も仕女の言を聽て我をして一口のパンを爾のまへにそなへしめよしかして爾くらひて途に就く時に力を得よ 28.23されどサウル否みて我は食はじといひしを其僕および婦強ければ其言をききいれて地より立あがり床のうへに坐せり 28.24婦の家に肥たる犢ありしかば急ぎて之を殺しまた粉をとり摶て酵いれぬパンを炊き 28.25サウルのまへと其僕等のまへに持ちきたりければ彼等くらひて立ちあがり其夜のうちにされり

29
29.1爰にペリシテ人其軍をことごとくアペクにあつむイスラエルはヱズレルにある泉水の傍に陣をとる 29.2ペリシテ人の君等あるひは百人或は千人をひきゐて進みダビデと其從者はアキシとともに其後にすすむ 29.3ペリシテ人の諸伯いひけるは是等のヘブル人は何なるやアキシ、ペリシテ人の諸伯にいひけるは此はイスラエルの王サウルの僕ダビデにあらずやかれ此日ごろ此年ごろ我とともにをりしがその逃げおちし日より今日にいたるまで我かれの身に咎あるを見ずと 29.4ペリシテ人の諸伯これを怒る即ちペリシテ人の諸伯彼にいひけるは此人をかへらしめて爾が之をおきし其所にふたたびいたらしめよ彼は我らとともに戰ひにくだるべからず然ば彼戰爭においてわれらの敵とならざるべしかれ其主と和がんとせば何をもてすべきやこの人々の首級をもてすべきにあらずや 29.5是はかつて人々が舞踏の中にて歌ひあひサウルは千をうちころしダビデは萬をうちころすといひたるダビデにあらずや 29.6アキシ、ダビデをよびてこれにいひけるはヱホバは生くまことになんぢは正し爾の我とともに陣營に出入するはわが目には善と見ゆ其は爾が我に來りし日より今日にいたるまで我爾の身に惡き事あるを見ざればなり然ど諸伯の目には爾よからず 29.7されば今かへりて安かにゆきペリシテ人の諸伯の目に惡く見ゆることをなすなかれ 29.8ダビデ、アキシにいひけるは我何をなせしやわが爾のまへに出し日より今日までに爾何を僕の身に見たればか我ゆきてわが主なるわうの敵とたたかふことをえざると 29.9アキシこたへてダビデにいひけるは我爾のわが目には神の使のごとく善きをしるされどペリシテ人の諸伯かれは我らとともに戰ひにのぼるべからずといへり 29.10されば爾および爾の主の僕の爾とともにきたれる者明朝夙く起よ爾ら朝はやくおきて夜のあくるに及ばばさるべし 29.11是をもてダビデと其從者ペリシテ人の地にかへらんと朝はやく起てされりしかしてペリシテ人はヱズレルにのぼれり

30
30.1ダビデと其從者第三日にチクラグにいたるにアマレク人すでに南の地とチクラグを侵したりかれらチクラグを撃ち火をもて之を燬き 30.2其中に居りし婦女を擄にし老たるをも若きをも一人も殺さずして之をひきて其途におもむけり 30.3ダビデと其從者邑にいたりて視に邑は火に燬けその妻と男子女子は擄にせられたり 30.4ダビデおよびこれとともにある民聲をあげて哭き終に哭く力もなきにいたれり 30.5ダビデのふたりの妻すなはちヱズレル人アヒノアムとカルメル人ナバルの妻なりしアビガルも虜にせられたり 30.6時にダビデ大に心を苦めたり其は民おのおの其男子女子のために氣をいらだてダビデを石にて撃んといひたればなりされどダビデ其神ヱホバによりておのれをはげませり 30.7ダビデ、アヒメレクの子祭司アビヤタルにいひけるは請ふエポデを我にもちきたれとアビヤタル、エポデをダビデにもちきたる 30.8ダビデ、ヱホバに問ていひけるは我此軍の後を追ふべきや我これに追つくことをえんかとヱホバかれにこたへたまはく追ふべし爾かならず追つきてたしかに取もどすことをえん 30.9ダビデおよびこれとともなる六百人の者ゆきてベソル川にいたれり後にのこれる者はここにとどまる 30.10即ちダビデ四百人をひきゐて追ゆきしが憊れてベソル川をわたることあたはざる者二百人はとどまれり 30.11衆人野にて一人のエジプト人を見これをダビデにひききたりてこれに食物をあたへければ食へりまたこれに水をのませたり 30.12すなはち一段の乾無花果と二球の乾葡萄をこれにあたへたり彼くらひて其氣ふたたび爽かになれりかれは三日三夜物をもくはず水をものまざりしなり 30.13ダビデかれにいひけるは爾は誰の人なる爾はいづくの者なるやかれいひけるは我はエジプトの少者にて一人のアマレク人の僕なり三日まへに我疾にかかりしゆゑにわが主人我をすてたり 30.14我らケレテ人の南とユダの地とカレブの南ををかしまた火をもてチクラグをやけり 30.15ダビデかれにいひけるは爾我を此軍にみちびきくだるやかれいひけるは爾我をころさずまた我をわが主人の手にわたさざるを神をさして我に誓へ我爾を此軍にみちびきくだらん 30.16かれダビデをみちびきくだりしが視よ彼等はペリシテ人の地とユダの地より奪ひたる諸の大なる掠取物のためによろこびて飮食し踊りつつ地にあまねく散ひろがりて居る 30.17ダビデ暮あひより次日の晩にいたるまでかれらを撃しかば駱駝にのりて逃げたる四百人の少者の外は一人ものがれたるもの无りき 30.18ダビデはすべてアマレク人の奪ひたる物を取りもどせり其二人の妻もダビデとりもどせり 30.19小きも大なるも男子も女子も掠取物もすべてアマレク人の奪さりし物は一も失はずダビデことごとく取かへせり 30.20ダビデまた凡の羊と牛をとれり人々この家畜をそのまへに驅きたり是はダビデの掠取物なりといへり 30.21かくてダビデかの憊れてダビデにしたがひ得ずしてベソル川のほとりに止まりし二百人の者のところにいたるに彼らダビデをいでむかへまたダビデとともなる民をいでむかふダビデかの民にちかづきてその安否をたづぬ 30.22ダビデとともにゆきし人々の中の惡く邪なる者みなこたへていひけるは彼等は我らとともにゆかざりければ我らこれに取りもどしたる掠取物をわけあたふべからず唯おのおのにその妻子をあたへてこれをみちびきさらしめん 30.23ダビデ言けるはわが兄弟よヱホバ我らをまもり我らにせめきたりし軍を我らの手にわたしたまひたれば爾らヱホバのわれらにたまひし物をしかするは宜からず 30.24誰か爾らにかかることをゆるさんや戰ひにくだりし者の取る分のごとく輜重のかたはらに止まりし者の取る分もまた然あるべし共にひとしく取るべし 30.25この日よりのちダビデこれをイスラエルの法となし例となせり其事今日にいたる 30.26ダビデ、チクラグにいたりて其掠取物をユダの長老なる其朋友にわかちおくりて曰しめけるは是はヱホバの敵よりとりて爾らにおくる饋物なり 30.27ベテルにをるもの南のラモテにをるものヤツテルにをる者 30.28アロエルにをる者シフモテにをるものエシテモにをるもの 30.29ラカルにをるものヱラメル人の邑にをるものケニ人の邑にをるもの 30.30ホルマにをるものコラシヤンにをるものアタクにをるもの 30.31ヘブロンにをるものおよびすべてダビデが其從者とともに毎にゆきし所にこれをわかちおくれり

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31.1ペリシテ人イスラエルと戰ふイスラエルの人々ペリシテ人のまへより逃げ負傷者ギルボア山に斃れたり 31.2ペリシテ人サウルと其子等に攻よりペリシテ人サウルの子ヨナタン、アビナダブおよびマルキシユアを殺したり 31.3戰はげしくサウルにせまりて射手の者サウルを射とめければ彼痛く射手の者のために苦しめり 31.4サウル武器を執る者にいひけるは爾の劍を抜き其をもて我を刺とほせ恐らくは是等の割禮なき者きたりて我を刺し我をはづかしめんと然ども武器をとるもの痛くおそれて肯ぜざればサウル劍をとりて其上に伏したり 31.5武器を執るものサウルの死たるを見ておのれも劍の上にふしてかれとともに死り 31.6かくサウルと其三人の子およびサウルの武器をとるもの並に其從者みな此日倶に死り 31.7イスラエルの人々の谷の對向にをるもの及びヨルダンの對面にをるものイスラエルの人々の逃るを見サウルと其子等の死るをみて諸邑を棄て逃ければペリシテ人きたりて其中にをる 31.8明日ペリシテ人戰沒せる者を剥んとてきたりサウルと其三人の子のギルボア山にたふれをるを見たり 31.9彼等すなはちサウルの首を斬り其鎧甲をはぎとりペリシテ人の地の四方につかはして此好報を其偶像の家および民の中につげしむ 31.10またかれら其鎧甲をアシタロテの家におき其體をベテシヤンの城垣に釘けたり 31.11ヤベシギレアデの人々ペリシテ人のサウルになしたる事を聞きしかば 31.12勇士みなおこり終夜ゆきてサウルの體と其子等の體をベテシヤンの城垣よりとりおろしヤベシにいたりて之を其處に焚き 31.13其骨をとりてヤベシの柳樹の下にはうむり七日のあひだ斷食せり